神戸J最高47億円でイニエスタ獲り 本人決断待ち

 ヴィッセル神戸が今夏でバルセロナを退団するスペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(33)の獲得へ、親会社楽天の三木谷浩史会長兼社長(53)が同国で交渉を行ったことが8日、分かった。最大でJリーグ史上最高額を大幅に超える推定年俸3500万ユーロ(約47億3000万円)を用意。バルセロナ一筋で欧州CL4度の優勝など多くのタイトル獲得に貢献してきた英雄が、昨年の元ドイツ代表FWポドルスキに続いて神戸に加入する可能性が出てきた。

 神戸がスペイン代表イニエスタの獲得へ本気交渉を行った。クラブ関係者によると、三木谷会長が強化責任者の三浦淳寛スポーツダイレクターを同行させ、6日のクラシコ、Rマドリード戦の前後に交渉したという。バルセロナは日本のインターネット通販大手で神戸を運営する楽天とスポンサー契約を結んでおり、環境は整っていた。

 イニエスタに関しては昨季から神戸の補強リストに入っており、最大で約47億円を超える年俸を用意。現地の複数メディアでは、3年契約の年俸2500万ユーロ(約33億8000万円)で移籍合意と報じられた。現年俸は800万ユーロ(約10億8000万)とみられ、いずれにしても神戸は破格の金額を用意。仮に3年契約となれば総額約142億円の投資となる。あとは本人の決断を待つ状況だ。

 バルセロナで主将マークを巻くなど英雄的存在のイニエスタは、4月27日の退団会見で「バルセロナと対戦したくない。欧州でプレーしたくない」と発言し、当初は中国スーパーリーグ重慶への移籍を報じられてきた。だがロイター通信によると、重慶は金銭面を理由に獲得に否定的という。現地紙「マルカ」などでは米国やオーストラリアも候補に挙がっているというが、三木谷会長自らが乗り込んでの熱意と好条件で他をリードした可能性は高い。

 今季の神戸は前線でポドルスキが孤立する場面もあり、天才的かつ芸術的なドリブルとパスワークを駆使するイニエスタを獲得すれば、現在J1で10位という足踏み状態からの脱出も期待できる。三木谷会長は昨年、Jリーグ史上最高額の推定年俸6億円でポドルスキを獲得した際に「欧州や南米のスターにどんどん来てもらいたい」と話していた。神戸が目指す世界基準のクラブへ、これ以上の人材はいない。

 この日、神戸の栗原圭介強化部長は「話せることは特にない」と説明を避けたが、獲得に成功すれば登録枠の関係で外国選手1人を放出する覚悟だ。4大会連続出場となるワールドカップ・ロシア大会前にも「神戸イニエスタ」が誕生するかもしれない。