札幌ペトロビッチ監督 11戦不敗導いたミシャ語録

20日の神戸戦で選手に指示を出すペトロビッチ監督

 北海道コンサドーレ札幌は第15節終了時点で5位につけ、ワールドカップ・ロシア大会による約2カ月間のリーグ戦中断期間に入った。クラブJ1最長11試合負けなしを記録し、最高3位まで順位を上げるなど今季チームの躍進ぶりは著しい。ミハイロ・ペトロビッチ監督(60)のコメントを紹介する「ミシャ語録」の第2弾は、開幕黒星スタートから中断期間突入まで。【取材・構成=保坂果那】

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 ◆2月

 「私に広島戦の先発が間違っていたんじゃないかと思わせるよう『俺を見てくれよ』というプレーを見せてほしい」(28日、熊本キャンプ中。開幕戦に敗れた翌25日のJ3鹿児島との練習試合も1-4で敗れ、控え選手に奮起を求めた)

 ◆3月

 「例えるならばサッポロビールの社員がサッカーが好きで、場所を借りてレクリエーションでしているような練習だった。ビール工場の人が、それぞれ与えられた自分の作業をサボっていれば、ビールは販売できる品物にはならない」(1日、C大阪戦前日練習中に声を荒らげ)

 「1試合で6ゴールも入ったゲームはいいゲームだったと言っていい。よく多く得点が入ると、失点の数を気にする方が日本では多い。ただそれは、お互いより攻めた展開だったということ」(2日、C大阪戦を3-3で引き分けて)

 「私を日本に連れて来てくれた人。長く一緒に仕事をしたかつての仲間であり、良き友人。近くにいたので、彼のチームを応援させてもらった」(5日、広島の元強化部長で現J2熊本の織田秀和GMについて。練習オフだった前日4日、熊本のホーム開幕戦を観戦した)

 「日本は過去に経験を積んだ選手に注目が集まることが多い。サッカーは過去の結果では生きられない」(7日、ルヴァン杯初戦を終え、試合内容に不満を漏らしていた)

 「去年は浦和の監督として試合に集中していたのではっきり見ていなかったが、素晴らしいスタジアムだなと思った」(9日、ホーム開幕戦前日に札幌ドームでの練習を終えて)

 「私は楽観主義。悲観的なことは考えない。残りの人生、楽しく生きたい。選手も選手として過ごす時間はあっという間なので、楽しく過ごして欲しい。私も昔は60歳になるとは思っていなかった」(同日、浦和の監督を解任されるきっかけとなった昨季の札幌戦について聞かれ)

 「負けた試合でも全てをネガティブにとらえる必要はない。今はまだ勉強代を払っているところ。選手たちは必ず勝利をつかんでくれると信じている」(10日、清水戦に敗れて。次節以降、11試合負けなしがスタートする)

 「結果が出ないとまわりがざわつくのはサッカーの世界ではよくあること。例えば20万人のサポーターがいたら、10万人は監督よりも俺の方がサッカーわかっていると思っている人たち。それがサッカーなんだけど」(17日、長崎戦前日練習を終えて。この時点で公式戦5試合未勝利だった)

 「勝利を長く長く待ってくれたサポーターにささげたい」(18日、長崎戦で今季初勝利を挙げ、重圧から解放され)

 「これまでなかったことなのでうれしかった。人間なのでミスはある。認めるか認めないかで違いがある」(31日、鹿島戦後に主審がハンドの誤審について認めたことを明かす)

 ◆4月

 「若い選手を成長させていくのは私の得意分野だ」(6日、名古屋戦前日練習を終えて。広島、浦和での実績に自信を持っているからこそ、札幌のクラブとしての将来を見据えた)

 「私の哲学ではチームがしっかり機能すれば、それぞれの選手は素晴らしいプレーができる。チームのなかで突出したスターは必要ない」(7日、名古屋戦後。特定選手へのコメントを避けながら)

 「私の戦術のアイデアがなくなったらセットプレーの練習にしようかなと思っていた。連戦の中で調整しながら試合に向かっていくにあたり、練習の負荷を考えてセットプレーの時間を多くしている。それだけだ」(10日、セットプレー練習について聞かれ、冗談交じりで。戦術練習がなかなかできないことを嘆いた)

 「本当に疲れました。自分が試合に出たような疲れだ」(11日、湘南戦ロスタイムの得点で勝利して)

 「シーズン最後に150点取れるような、そんな展開になれば」(14日、柏戦で札幌のJ1アウェー通算100得点達成を聞かれ)

 「違った視点から見れば、札幌が浦和より(勝ち点が)3点多い状況でアウェーに乗り込むというのは今までなかったのでは。そういう視点で見るのもおもしろいのでは」(20日、翌日の浦和との古巣対決について周囲の注目を感じながら)

 「あまりないとは思うが、5つ星ホテルに泊まったとして部屋がすごく豪華できれいでもベッドがあまり良くなかったら、次の日疲れを残したまま旅立つ。サッカーにとって大事なのはピッチ。そこがいいのが非常に大事」(24日、札幌厚別での初練習後。特有の風より芝の状態を確認した)

 「私は基本的にはシステムの話は好きではない。なぜならボールを失えば全員が守備をし、マイボールなら全員で攻撃するというのがサッカーだと思っているから」(27日、仙台戦前日練習後に)

 「政治家になってしまうんじゃないかってくらい話している」(同日、練習前の1時間以上のミーティングについて。「俺はまだできる」と考えることで、体が疲れていても、余力を発揮できると力説)

 ◆5月

 「一希は大きなケガを負ってきた選手だが、鳥栖戦が終わった後、笑顔でロッカールームに帰って来た。今日も。ケガをしていないという証拠。幸せそうにプレーしてるのが私自身非常にうれしい」(5日、G大阪戦後、ゴールを決めたMF深井について)

 「2位、3位で戦う上で守備的な戦術は私のスタイルではないと思っていた。だからこそ、攻撃的な布陣で臨んだ」(13日、東京戦後。ケガから復帰したばかりのFWジェイを先発起用した理由について)

 「ようやくミニマラソンが終わる」(19日、神戸戦前日、連戦のゴールを目前に、ホッとした表情を浮かべながら)