G大阪宮本監督 練習3日で守備約束事守らせ勝ち点

指示を出すG大阪の宮本監督(撮影・奥田泰也)

<明治安田生命J1:G大阪1-1鹿島>◇第18節◇28日◇パナスタ

 ガンバ大阪宮本恒靖新監督(41)が執念ドローで船出した。ホーム鹿島アントラーズ戦は1点を追う後半25分、DF米倉恒貴(30)の今季初得点が同点ゴールとなり1-1で引き分けた。2度目のJ2降格を回避するためにレビークルピ監督を解任したG大阪は、元日本代表主将の宮本氏が内部昇格。順位は16位のままだが、わずか3日間の練習で連敗を2で止めた。

 宮本ガンバには確かな可能性が広がっていた。1点を追う後半25分、DF米倉が右からロングボールを蹴った。「クロスだった」と本人も話すが、ボールは美しい弧を描いてゴールへ。今季初得点で同点に追い付いた。すると劣勢だった雰囲気が一変。宮本監督のデビュー戦は、勝てなかったがチーム力の変化に手応えを得た。

 「(先制されても)選手は頭を下げることなく、同点に追い付いてからもたくさんチャンスを作れていた」

 J1で指揮を執るのは初めてだが、冷静な采配はならではだった。U-23監督時代に指導した“宮本チルドレン”の高卒2年目MF高(こう)を先発に抜てき。レビークルピ前監督体制では、ベンチ入りすらなかった高をJ1デビュー戦でボランチとして起用し、高卒3年目のFW一美(いちみ)はベンチ入り。右サイドバックが定位置のDF米倉を右2列目で起用。この采配が的中した。

 23日に就任し、練習時間はわずか3日間。前監督は攻守において自由を与えすぎていたため、宮本監督はまず守備の約束事を作った。これまではゲーム形式ばかりで流れるような練習だったが、新指揮官は1回1回止めて指示。MF遠藤は「約束事を意識しながらやってバランスが良くなった」。日本代表、G大阪で主将を務めてきた宮本監督。試合前の言葉にも重みがあった。「お客さんを楽しませるプレーをしろ」。MF倉田は「気持ちが強く伝わる。話す姿で奮い立たせてくれた」と明かした。

 試合前から雰囲気は違った。宮本監督の名が告げられると、台風接近にもかかわらず、今季3番目となる2万8534人の観客から大声援が送られた。「たくさんのサポーターに勝利を届けるんだ、という気持ちだった」。チームは連敗を2でストップ。J2降格危機が迫る16位のままだが希望は生まれた。宮本ガンバが合格点のスタートを切った。【小杉舞】

 ◆宮本恒靖(みやもと・つねやす)1977年(昭52)2月7日、大阪・富田林市生まれ。05年G大阪のJ1初制覇に貢献、06年末にオーストリア1部ザルツブルクに完全移籍。09年神戸で日本復帰し、11年末に現役引退。ワールドカップは02、06年大会に出場するなど国際Aマッチ通算71試合3得点、J1通算337試合8得点。