鹿島伊東、控え組代表の意地「力を見せたいなと」

長崎対鹿島 前半39分、MF遠藤康の逆転ゴールを喜ぶ鹿島の選手たち(撮影・菊川光一)

<明治安田生命J1:長崎1-2鹿島>◇第22節◇15日◇トラスタ

 台風が過ぎた長崎は、湿度94%の雨模様。蒸し暑く、コンディションは厳しかった。だが、鹿島アントラーズの選手たちの足は、最後まで止まらなかった。勝ち越しゴールを決めたMF遠藤康は「みんなが勝つためにすごい走って頑張っていたので、それが勝ちにつながった」と仲間を誇った。

 前半14分に、クロス気味のボールが吸い込まれるアンラッキーな形で先制を許した。だが、約4カ月ぶりの先発出場を果たしたDF山本脩斗は「チームとして落ち着いていた」。

 すると8分後だった。8試合ぶりの先発出場を果たしたDF伊東幸敏が遠藤を追い越す形でオーバーラップし、遠藤からパスを受けて右からクロスを挙げた。そこにFW陣が飛び込む。FW金森健志は「サイドを崩した際、中には絶対に3人入れと言われていた。自分がつぶれることで得点の形をつくれていた」。

 通り過ぎる形でMFレオ・シルバに渡ると、あまり角度のない左の位置から迷わずゴールを狙った。「ボールを理想としたところに止めることができた。迷いなくシュートを打った」。鮮やかな弧を描いて、サイドネットに吸い込まれた。「あの得点で多くの人が目が覚めたことを願っています」。今季初ゴール。リーグ再開後は見違えるようなパフォーマンスを見せている背番号4は笑って言った。

 その言葉通り、次の得点も鹿島だった。再び遠藤に渡ったボール。伊東も再び、遠藤を追い越す形でオーバーラップを仕掛けた。そこに相手DFがつられた。今度はパスを出さず、中に切り込む。そして、左足で狙い澄ましたカーブシュート。前半39分、まさに“連動”で奪った勝ち越しゴールだった。

 MF安部裕葵とDF安西幸輝がそれぞれ右足首と右膝の負傷で途中交代するアクシデントに見舞われた。それを乗り越えて、チーム力で勝ちきった。

 伊東は「メンバー外の時間がすごく続いて、メンバー外の人たちとつながる中で、試合前に彼らの顔が浮かんだ。メンバー外代表じゃないけど、力をすごい見せたいなと思っていた」。そんな思いがうまく絡み合った長崎戦。50日間で13試合をこなす過密日程の中で、底上げができた。