久保建英今日にも横浜移籍 来季バルサ復帰へ危機感

3月、ルヴァン杯横浜戦で、東京MF久保はボールを追う。左は横浜GK飯倉

 FC東京の17歳FW久保建英が横浜F・マリノスに電撃移籍することが15日、分かった。複数の関係者によると、水面下で両クラブが進めていた交渉が大筋合意。今日16日にも今季終了までの期限付き契約で発表され、横浜の練習に参加する。バルセロナの下部組織カンテラ出身で、16歳だった昨年11月にプロ契約。異色の経歴を刻んできたU-19日本代表が、今度は高校在学中に移籍するという異例の道を選んだ。

 Jリーグの今夏移籍市場が閉まる直前に、ビッグディールが成立した。東京の高校生プロ、久保が横浜へ電撃的に移籍する。第2ウインドー(登録期間)は明日17日が期限。関係者によると、その前日となる今日16日にも今季終了までの期限付き移籍が発表される。

 J1では直近10試合中9試合で招集外。今季就任した長谷川監督が率いる東京は前節まで2位と好調で、久保はベンチを温めることもできていない。出場機会を求め、クラブが尊重。極秘裏に交渉は進み、現在14位で攻撃陣にてこ入れしたい横浜と思惑が一致した。

 ヴィッセル神戸イニエスタと同じバルセロナの下部組織で育った久保は中学時代の15年に帰国し、東京の育成経由でトップ昇格。昨年11月1日にクラブ史上最年少の16歳4カ月28日でプロ契約を結んだ。同4月のJ3セレッソ大阪U-23戦でJリーグ最年少ゴールを決め、今年は3月のルヴァン杯アルビレックス新潟戦で大会最年少得点。しかし、J1では開幕から3戦連続で途中出場したものの、いまだ無得点。徐々に出番を失い「プロの壁」に直面した。4月14日のC大阪戦を最後に4カ月間、出場がない。

 一方でJ3の東京U-23では10試合3得点。90分間のプレー機会こそ確保されているが、主戦場が下位リーグに収まりつつある現状に危機感を覚え、J1の舞台でプレーする環境にこだわった。18歳の誕生日を迎える来年6月にバルセロナ復帰を目指している。そこまでに、できるだけ多くの実戦経験を積みたい意向が大きかった。横浜の練習場は自宅から通える距離にあり、その下部組織では弟がプレーしている縁もある。

 16歳Jリーガーは香川(C大阪)森本(東京ヴェルディ)宇佐美(ガンバ大阪)ら以来。本来はクラブの宝である10代が高校卒業前に移籍するのは極めて異例だが、これも学校を通信制に切り替えてプロ契約を結んでいたからこそ。昨年は「飛び飛び級」の15歳でU-20ワールドカップ(W杯)に出場し、今年はW杯ロシア大会16強の西野ジャパンのトレーニングパートナー。より出場を渇望するようになった。東京の長谷川監督からは「タケ(久保)には日本を背負って立つ存在になってもらわないと困る」と期待されており、親心で送り出される。東京オリンピック、その先のW杯へ、降格経験のない名門から再出発する。

 ◆久保建英(くぼ・たけふさ)2001年(平13)6月4日、川崎市生まれ。2歳でサッカーを始め、11年9月に川崎FのU-10からバルセロナ下部組織へ。12-13年シーズンに30試合74得点で得点王。中学2年の15年5月に東京U-15むさしへ加入し、同3年でユースへ飛び級昇格。全日本クラブユース選手権で史上初の中学生得点王に輝く。16年11月5日のJ3AC長野パルセイロ戦でJリーグ最年少出場(15歳5カ月1日)。昨秋のU-17W杯16強。家族は両親と妹、弟。利き足は左。173センチ、67キロ。血液型A。