都倉が記録的弾 札幌最多71発、日本人初4戦連発

札幌対神戸 後半5分、ボレーシュートを決める札幌FW都倉(撮影・黒川智章)

<明治安田生命J1:札幌3-1神戸>◇第25節◇1日◇札幌ド

北海道コンサドーレ札幌はヴィッセル神戸を3-1で下し、今季2度目の3連勝を飾った。1点リードの後半5分、FW都倉賢(32)がDF福森晃斗(25)の左クロスを右足でゴールに流し込み、追加点を挙げた。日本人選手では、クラブ史上初のJ1での4戦連発とシーズン最多タイ11点目をマーク。札幌では公式戦通算71点目で、クラブの単独最多となるなど、記録ずくめの1発となった。MFイニエスタ(34)擁する難敵を退け、勝ち点は41、順位は4位をキープした。

都倉がイニエスタの目の前で、華麗な1発を決めた。後半5分だ。ペナルティーエリア手前左からの福森の浮き球パスに、ファーサイドに走り込んだ。右足をダイレクトで合わせ、ゴールネットを揺らした。「(福森の)性格上パスしてくれるのではと思った。しっかり流し込むだけだった」と、息の合ったプレーでリードを広げた。5分後には不調を訴えたイニエスタが無得点でベンチに退いた。FWポドルスキも、前半途中で退場している。「彼らが何をしたか、印象に残ってるお客さんはいない」。気持ちよく勝利宣言した。

初対戦した世界屈指の天才とは違い、泥臭く歩んできた。10年ワールドカップ(W杯)制覇など、スペイン代表やバルセロナでタイトルを総なめにしてきたイニエスタ。一方の都倉はプロ生活をスタートした川崎Fでは出番に恵まれず、札幌や草津でJ2も経験した。プロ14年目、32歳の今季、J1でキャリアハイを更新中だ。前節で初の2ケタ得点に到達すると、札幌の日本人選手では誰も成し遂げていなかった4試合連続ゴールで、98年FW吉原のシーズン最多に並んだ。在籍5年目で、最もゴールを決めた男の称号も手にした。

結果を生んでいるのは、尽きないチャレンジ精神。4戦連発の起点となった第22節G大阪戦直後から、専用メガネを装着して行う動体視力トレーニングを始めた。GK陣が取り組むのを見て、フィールドプレーヤーで唯一“入門”した。赤池GKコーチは「向上心が強いから」と感心する。成長するため、何でもトライする姿を「後退してるとは全く思わないし、今の肌感覚だと3~4年は成長速度を上げられると思う」と自身の伸びしろを感じている。

開幕スタメン落ちから、主力の座を勝ち取った。「若い頃出られない分、忍耐力もついた。過去に成長できたのは、強いストレスを乗り越えた時。今チャンスだな、くらいに思っていた」と振り返る。次節も上位対決となるが「自分たちのサッカーをやれば(2位の)川崎F相手でも勝てる」と、自信満々に言い切った。イニエスタ目当ても多かった観客をプレーで魅了したのは、札幌の背番号9だった。【保坂果那】

◆札幌のJ1リーグ戦4戦連発 98年FWバルデスの5試合連発(第1ステージ第11節~第15節)がクラブ最長で、その間8得点している。4試合連発は01年FWウィル、08年FWダビ、今季FW都倉の3選手。98年にはMF棚田が第2ステージ第15節から最終17節まで3試合連続得点し、続く参入戦もゴールを決め出場4試合連続ゴールを決めた。

▼札幌FW都倉は札幌在籍時の通算得点が71点となり、クラブ歴代単独1位となった。14年の加入からリーグ戦66点、カップ戦1点、天皇杯4点を積み上げた。バルデス(97~98年)が70点(リーグ戦61点、カップ戦9点)で続き、10年から在籍する内村圭宏が60点(リーグ戦59点、カップ戦1点)で3位。