札幌都倉「未来は作るもの」きょう敵地で地震後初戦

川崎F戦に向けた前日練習を終え、最後に円陣で話をする札幌ペトロビッチ監督(奥右)と聞くFW都倉(同左)(撮影・保坂果那)

難敵からクラブ史上初めて奪う勝利を、北海道民にプレゼントする。北海道コンサドーレ札幌は14日、北海道胆振東部地震後初の試合となる今日15日の川崎フロンターレ戦(等々力)へ向け、札幌・宮の沢で練習を行い、敵地入りした。J1、J2を通じてリーグ戦で唯一の未勝利クラブが相手だが、復興へ歩み出した被災地、ホームタウンに、明るいニュースを届ける。

札幌イレブンの集中力は高まっていた。2週間ぶりのリーグ戦には、どうしても勝ちたい理由ができた。6日未明に発生した大地震後、初めての試合となる。ホーム北海道は、被災地となった。クラブのJ1最長タイ5戦連発に挑むFW都倉は「いつもの一戦以上に道民にとっては意味のある、そんな試合だと思う」。ピッチでの全力プレー、勝利が前を向く力となると信じて、北海道をたった。

地震の影響による練習中止もあり、チームとしての準備日数は当初の予定より2日少ない、7日間だった。それでも言い訳はしない。ミハイロ・ペトロビッチ監督(60)は「それほど大きな問題ではない。我々にとって問題なのは、今なお避難生活をしている方がいること。それに比べれば我々が受けた影響は大したことはない」と、道内の被災者へ思いをはせる。

札幌にとって川崎Fは過去最も苦しんでいるクラブだ。リーグ戦は4分け15敗(うちJ1で1分け6敗)。J1、J2合わせて過去対戦した現存のクラブで唯一、勝ち点3を奪えていない。そんなデータに、都倉は燃える。「過去の歴史の延長線上に今があるわけじゃない。未来はこの瞬間の自分たちが作っていくものと思っている。しっかりその準備はできていますし、歴史を自分たちの力で塗り替えていきたい」と、古巣相手に立ち向かう。今季は横浜からの初勝利を挙げているだけに、自信はある。

苦難を乗り越える姿は、復興を目指す北海道民の姿と重なる。指揮官は「被災に遭われた方々に笑顔と勇気と力を与えられるプレーを見せていきたい。そういう思いで選手たちはやってくれている」と信じて選手を送り出す。クラブ初のJ1での4連勝をかけ、等々力のピッチに札幌イレブンが立つ。【保坂果那】