札幌まさかの7失点 川崎Fにリーグ戦初勝利ならず

川崎F対札幌 完封負けした札幌FW都倉はジェイに声をかけながら引き揚げる(撮影・山崎安昭)

<明治安田生命J1:川崎F7-0札幌>◇第26節◇15日◇等々力

北海道コンサドーレ札幌は勝利をつかめなかった。川崎フロンターレにリーグ戦では過去最多に並ぶ7失点を喫した。6試合ぶりの黒星で、クラブ史上初のJ1での4連勝は逃した。6日未明に発生した北海道胆振東部地震発生後、初の試合で勝利を目指したが前半に3失点。後半さらに4点を追加され、5位に後退した。リーグ戦の対戦成績は4分け16敗(J1では1分け7敗)となり、20度目の対戦でも初白星は奪えなかった。

札幌の気合は空回りした。川崎Fとの試合前、地震で亡くなった北海道の被災者へ、黙とうがささげられた。ピッチ中央で円になり19秒間、目を閉じ、静かに冥福を祈った。両チームの選手、監督らの左腕には喪章が巻かれていた。最高の集中力で臨んだ。それだけにミハイロ・ペトロビッチ監督(60)は「全国からたくさんのお見舞いの言葉をもらい、感謝します。北海道の方に元気になってもらいたいという思いを持って戦ったが…」と、残念がった。

FW都倉が「チャンスを決められなかったのが、コインの表と裏」と言うように、序盤の攻防が試合の明暗を分けた。7分に右シャドーで先発したMF荒野がフリーでシュートを放ったが、枠を捉えられない。14分にMFチャナティップがフリーで狙ったシュートもゴール左に外れた。ここまでは完全に札幌ペースだったが、その後カウンターから立て続けに失点。後半も相手の勢いは止められず、リーグ戦では6年ぶりにクラブワーストに並ぶ7点を献上した。

ピッチに立った選手には、被災地となったホーム、北海道への思いだけがあった。試合前、選手の目に飛び込んできたのは、ゴール裏に掲げられた横断幕の文字。「北海道の為に勝利を」。「北の大地は屈しない」。主将のMF宮沢は「何点取られてもサポーターの声が途切れることなく、背中を押してくれた。あらためて、誰のためにサッカーをしているのかを感じた」と、特別な1試合を胸に刻んだ。

選手もスタッフもサポーターも、6日未明、突然襲われた地震に心を痛め、北海道の復興を願う仲間。地震による2日間の練習中止もあった。だからこそ、当たり前にサッカーができる毎日に、喜びを感じてボールを追う。順位は5位に後退したが、宮沢は「下を向かず、やっていきたい」と、すぐに気持ちを切り替えた。次節はホームで迎える鹿島戦。北海道の復興を後押しする、勇気を与えるプレーを見せてくれるはずだ。【保坂果那】

▼札幌は川崎Fに等々力で10連敗となった。96年のチーム誕生後97年までのJFL時代は1勝1敗も、J2では99年0-2、0-2、03年0-1、0-1、04年0-6、0-2と6連敗し、J1でも08年1-3、12年0-1、17年1-2、今季は0-7で4連敗となった。