4万人、J1…奇跡は起こすもの 新潟是永専務語る

「皆さんと一緒に作り上げていきたい」。アルビレックス新潟の今後について、明るく語る是永専務

J2アルビレックス新潟の専務に、シンガポールプレミアリーグの新潟シンガポール(S)の社長でもある是永大輔氏(41)が9月就任。来季に向けた活動を始めつつある。赤字続きだった新潟Sを黒字経営に導き、リーグ戦3連覇、4冠獲得など国内最強クラブに作り上げた手腕を、これから新潟で発揮する。新潟の再建に取り組む意気込みを聞いた。

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是永専務は13日にシンガポールから新潟入りした。直後から県内のメディアに出演するなど精力的に活動する。J1復帰を逃し、来季は勝負の年。今後、編成、運営など本格的に陣頭指揮に当たる。

-専務に就任後、新潟は5連勝、第37節まで7試合負けなし

是永 素晴らしいですね。激しく、熱く、最後まであきらめないアルビらしいサッカー。その方向性が出始めています。来季もこのサッカーがベースです。お客さんが喜びます。こういうサッカーを毎試合しなければならないです。

-ファンは強い新潟、4万人のビッグスワンの再現を期待している

是永 それはみんなで作るものだと思います。これまでアルビはそうやってきたのですから。正直、来季は経営的には史上最大の危機。1億3000万円のJ2降格救済金は来季からなくなります。圧縮もしなければならない。そうなると戦力も相当落ちるのではと、思われるかもしれません。ただ、アルビはもうだめかも、というところで何度も奇跡を起こしました。12年の最終節でのJ1逆転残留など。奇跡は起こすものなんです。その先にある結果が4万人だし、J1昇格です。まずは雰囲気を作りたい。こうだから4万人が集まる、こうだから、J1に昇格するというところに持って行きたいです。

-「こうだから」はどう仕掛けるのか

是永 選手のメディアへの露出、イベント出演をJリーグでいちばん多いクラブにしたいです。選手たちもファンの生の声が聞けるのはうれしいんです。それが活躍につながる。ファンに身近に感じてもらうことで応援もしてもらえます。ここはメリットしかない。

-クラブとファンの距離を縮める策は

是永 編集のない情報をクラブが発信したい時にする。インフラ整備が必要になります。インターネットテレビの開設などもそうかもしれないです。

-新潟SのGK野沢洋輔(38)を11年ぶりに新潟に復帰させる狙いは

是永 野沢は絶対に必要な選手。リーダー、プロ選手としての振る舞いのほか、年齢を重ねてプレー面でも充実しています。客寄せパンダではなく、選手としてやれると思っています。

-ファンとはどういうスタンスで向き合うのか

是永 一緒に作りましょう、ですね。アルビはみんなのクラブ。そうではなくなったから今の状態にある。シーズンパスを買っていただいて友人をスタジアムに連れて来てもらいたいです(笑い)。来年は開幕から最終節まで、みんながワクワクするアルビをお見せします。【構成・斎藤慎一郎】

◆是永大輔(これなが・だいすけ)1977年(昭52)5月10日生まれ、千葉県出身。千葉・昭和秀英高ではサッカー部に所属し、ポジションはGK。3年時には主将を務める。日大芸術学部演劇学科に進み、卒業後はゼットプロジェクト(現CWS BRAINS)に入社。08年に新潟シンガポールの代表取締役に就任。16年12月にアルビレックス新潟の取締役に就任。