完敗柏にサポ怒号、FW伊東「勝ててないので」

川崎F対柏 前半、柏FW伊東(右)は、左から川崎F・DF奈良、MF谷口にドリブル突破を阻まれる(撮影・小沢裕)

<明治安田生命J1:川崎F3-0柏>◇第31節◇3日◇等々力

柏レイソルは首位川崎フロンターレに0-3の完敗を喫した。降格圏の17位を脱出できず、リーグ戦は残り3試合。09年以来のJ2降格が現実味を帯びてくる事態に、試合後にはサポーターから怒号が飛び交った。

柏にとっては10月19日の前節名古屋戦から約2週間の調整期間があり、加藤望監督(49)は練習の大部分を非公開にして新たな戦術に着手。練習試合を重ねるなどして残り4戦での巻き返しを狙っていた。この日は従来の4バックのシステムから、3バックの両サイドにウイングバックを置く3-4-3のシステムに変更。相手の攻撃時には5バックで守る守備重視のプランで試合に臨んだ。

しかし、昨シーズンの王者川崎のパスワークを前に、すぐにほころびが生まれる。「スライドが遅くなったり、プレッシャーが中途半端になってしまった」(加藤監督)とシステムの完成度の低さを突かれて前半21分に先制を許すと、33分にはCKをDF谷口彰悟(27)に直接頭を合わせられて2失点目を喫した。

J1残留へむけてひとつの取りこぼしも許されないチームは後半18分にFW瀬川祐輔(24)、31分には8試合ぶりのベンチスタートとなったFWクリスティアーノを投入して反撃を狙う。しかし、守備的な布陣ゆえに攻撃の枚数は十分でなく、4バックで強固な守備陣形を敷く川崎をなかなか崩せないまま時間だけが過ぎていった。

反対に終了間際の44分にMF阿部浩之(29)に決定的な3点目を決められ万事休す。終わってみれば0-3の完敗で、残留への意地をみせられないまま試合を終えた。

FW伊東純也(25)は「5-4-1でうまく守って素早くカウンターにいこうという意識でやっていたけど、(自分たちの)質と相手のペースでやられて、いいボールの取り方ができなかった」と振り返った。これまではサイドに張ってボールを受けることが多かったが、新システムではウイングバックがサイドにいることで少し中に入った形でボールを持つ回数が多かった。「ウイング(バック)がボールをとって、そこを起点に流し込んでもらってという狙いはあった」と明かしたが、思うような形でボールが届くことはほとんどなかった。「つなぐところからまずサイドにボールが入らなかった。ほとんど攻撃の形はつくれなかったかなと思います」とうなだれた。

主将のMF大谷秀和(33)も「練習試合の時からボールサイドに人を集められて、とりきれない場面があった。今日もそれが出てしまったと思う」と話した。指揮官からは「しっかりボールにプレッシャーをかける」という指示も出ていたが、中盤での攻防でボールを持つ相手を前になかなか出ていけない場面もあった。この点について大谷は「中盤の4枚からみると、いきたいけど、いくと相手の方が枚数が多いから、そういうところの難しさはあった」と口にした。同時に川崎のパスワークに舌を巻き「うまく間に立たれて、サポートの選手を増やされて(自分たちが)いってもはたかれて、いってもはたかれてと、どうしても相手にプラス1の状況をつくられていた。守備に人数をかけている分、前を向いたときに味方へのパスコースが非常に遠く、距離感が悪かったり、人もいなかったりでなかなか攻撃につなげられなかった。攻守において難しいゲームだった」と話した。

リーグ戦は残りわずか3試合。ふがいない戦いぶりに試合後のあいさつの際にはサポーターから怒号が飛び交った。伊東は「勝ててないので、それは当たり前だと思うし、そういうのを力に変えられるようにやっていかないといけない」。ACLの日程上の都合で、次節の鹿島アントラーズ戦は中2日の6日に行われる。伊東は「短い時間しかないですけど、とりあえず切り替えて、修正できるところは修正して。諦めずやっていくしかない」と必死に前を向いた。