札幌ACL王手、12・1最終節広島撃破で決める

磐田対札幌 後半、追加点を挙げた札幌MF三好(手前左)はチームメイトに抱きつく(撮影・滝沢徹郎)

<明治安田生命J1:磐田0-2札幌>◇第33節◇24日◇ヤマハ

最終節に望みをつないだ。北海道コンサドーレ札幌はジュビロ磐田に2-0の完封勝利を挙げ、4位をキープし自力でのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場圏内3位入りの可能性を復活させた。前半に相手オウンゴールで先制し、後半31分にMF三好康児(21)の今季3点目で追加点を挙げた。J1のクラブ史上最高4位以上が確定。12月1日の最終節は札幌ドームで2位広島と対戦する。

負ければACLの夢が絶たれる可能性があった一戦。攻める札幌は、磐田に主導権を与えず敵地で快勝。勝利が決まるとミハイロ・ペトロビッチ監督(61)は、スタッフらとベンチ前で円陣を組んで喜びを爆発。「攻守でゲームをコントロールできていた。勝利に値するゲームができた」と、内容にも満足の勝利で、勝ち点3を上積みした。

前半に浴びたシュートは1本のみ。立ち上がりから押し込み、ペースをつかむと、その勢いが相手オウンゴールを誘い、先制した。さらに途中出場の三好の追加点で勝利を決定づけた。U-21日本代表として遠征していたUAEから帰国してまだ3日。疲労が考慮されベンチスタートとなり、後半22分から投入されると、9分後。FW都倉からパスを受けると右サイドから中央へ運び、ペナルティーエリア手前から左足を振り抜いた。ゴール左へ突き刺したミドルシュートが2試合ぶり今季3点目となり「限られた時間で結果を残してチームを勝たせようと思った」と胸を張った。

過去J1最高11位のクラブが4位以上を確定させたのは、大きな価値がある。トップ4チームに与えられる理念強化分配金の獲得が決定した。4位でも1億8000万円。17年度の人件費がJ1・18チーム中15位だった札幌にとって、資金面でもクラブとしてさらなる成長を助けることになり、将来的な可能性は広がるばかりだ。

最終節は2位広島とのACL争いの直接対決。勝てば夢切符を手にでき、3位鹿島の結果次第では、2位に浮上する。舞台は札幌ドーム。サポーターの後押しを受けて戦い、歓喜をともに分かち合える。そんな瞬間を思い描く指揮官は「失うものはない。思い切ってプレーできる状況。やるべきことがはっきりしたゲーム」と、勝利だけを見据える。今季から攻撃的サッカーに生まれ変わり、勝ち点を重ねてきたチームは、12月1日、新たな歴史を刻む。【保坂果那】

◆札幌の最終節行方 6連敗中の2位広島と直接対決に勝てば3位以内となり、3位鹿島の結果次第では2位浮上の可能性もある。広島と引き分けると4位が濃厚で、鹿島が鳥栖に敗れ勝ち点55で並んでも、得失点差で現在11点差があり、厳しい状況。また、天皇杯優勝クラブとリーグ戦1、2、3位チームが重複した場合、4位クラブが19年ACL出場権を獲得できる。今年の天皇杯は鹿島が準決勝まで勝ち進んでおり、12月5日準決勝、同9日決勝を勝てば、4位クラブもACL出場が実現する。

◆Jリーグ配分金 <1>均等配分金<2>理念強化配分金<3>降格救済金<4>ACLサポート<5>賞金の5種。均等配分金はJ1全クラブ同額で、理念強化配分金、降格救済金、ACLサポート、賞金の4種は順位で配分金の有無、額が違う。別表の理念強化配分金は3年に分けて配分される総額。