清水六反ヘッドGK弾は苦い経験、中高生に伝える

クラブハウスの記者室を訪れ、サッカー教室開催への思いを語る清水GK六反

清水エスパルスGK六反勇治(31)が中高生GKを対象としたサッカー教室「Rokutan Keeper Academy 3rd」を開催する。来年1月4~6日に、高校3年間を過ごした熊本市の松嶋総合センターで、全国から参加者を集める。今季ホーム最終節で放ったJ1初のヘディングGK弾で一躍注目されたが、歴史的な1発は苦い経験として伝えるつもりだ。

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「GK弾」で注目を浴びた六反がサッカー教室を開催するのは3度目になる。講師役のJ2アビスパ福岡囲謙太朗(27)J2レノファ山口藤嶋栄介(26)ら参加するJリーガーはいずれもGKで、GKに特化したプログラムを用意している。6日、クラブハウスでプランを説明した六反は「GKのレベルが上がれば、日本サッカーのレベルも上がると思う」と元日本代表は熱を込めた。

11月24日のヴィッセル神戸戦。ホーム最終節で同点弾を放った。GKがヘディングゴールを決めたのもJ1初なら、後半59分(ロスタイム14分)のゴールはJ1史上最も遅い得点だった。全国ニュースやブラジルのスポーツ番組でも取り上げられるなど、一躍時の人となった。教室開催には最も「熱い」タイミングとなったが、六反自身は退場者2人と負傷者2人を出す荒れた試合の同点劇を「ワースト試合」と振り返る。速やかに試合を納めてこそ理想のGK。大乱戦の経験を、武勇伝として紹介するつもりはない。もっとも、「もっとGKがフォーカスしてもらえればうれしい」と、代名詞にもなりつつあるヘディングを練習メニューに加えるつもりだ。

誠実なGKは開催場所にもこだわった。過去2回は福岡と鹿児島だった。六反は鹿児島県出身で高校は熊本国府高に進学。プロキャリアをスタートさせたのも福岡で「九州はスクールが少ないと感じたし、環境も他の県と違う。子どもたちに対するチャンスが平等ではないと思った」。九州への恩返しの思いも込め、今回は「第2の故郷」熊本で行うことを決めた。

教室は中、高生に分かれ、1泊2日ずつの日程で行う。実技と夜の講義を通して「リーダーシップや人間形成にもつなげたい」という。2018年の最後に記録的なゴールを決めた守護神の年明けは、子どもたちの記憶に残る指導に徹する。【神谷亮磨】

◆六反の「ヘディング弾」VTR 11月24日の神戸とのホーム最終戦。2-3で迎えた後半ロスタイム14分にMF石毛が蹴った左CKからのボールを、六反が後方に下がりながらヘディングで同点とした。GKの得点はJ1では22年ぶりで、ヘディングは初。ロスタイム14分の得点はJリーグ史上最遅だった。同試合では清水MF河井とDF立田が負傷退場。神戸はMF藤田とFWウェリントンが退場するなど、大荒れとなった。