新潟片渕監督「笑顔で終われるシーズンに」心境語る

今季を表現する言葉、「笑」を掲げる片渕監督

J2アルビレックス新潟の19年が10日の新体制会見から始まる。昨季途中から就任した片渕浩一郎監督(43)の下で、J1昇格を目指す。16年から3年連続でシーズン途中に指揮を執った経験がある片渕監督にとって、チーム始動から先頭に立つのは今季が初めてになる。チームを目標達成に導く心境を語った。【構成・斎藤慎一郎】

片渕監督は手応えを持って19年シーズンに臨む。昨年8月に鈴木政一前監督の退任後、代行を経て監督に就任。16位で終えたが、終盤に5連勝を記録するなどチームを立て直した。16年の吉田達磨監督、17年の三浦文丈監督、そして昨年と3年連続でシーズン途中の監督交代後に指揮を執ったが、今季はシーズンの最初からチームを仕切る。

-チーム作りから先頭に立つ心境は

片渕 ゼロからのスタートではないです。昨季途中から指揮して選手の頑張りで、ある程度の結果が出た。僕が考えていることを選手も理解してくれているでしょうし、僕も選手のいいところ、改善しなければならないところは共有できている。16年からコーチをしているのでトップチームの現場は知っています。キャンプから開幕という流れも経験値がある。そこをスタッフと話し、リニューアルしていきたい。

-練習の基本は昨季途中と同じもの

片渕 大枠は昨年の9、10月から練習してきたことをキャンプからやる、というイメージです。それを反復してクオリティーを上げていきます。

-“新潟らしさ”が求められる

片渕 アグレッシブにハードワークをしてチーム全員で表現するのが新潟らしいサッカーだと思います。アルビレックスのサッカーをするには、まず走らなければならない。それを、労を惜しまずにやれる集団にしたい。体力的にも精神的にもです。できない選手は淘汰(とうた)されていくと思います。キャンプは厳しくなりますよ。

-昨季の監督就任時、最初にやったことは

片渕 どういうサッカーをするのか、まず整理する必要がありました。こういう攻撃、こういう守備をするという絵を具体的に細分化して選手に見せました。私が例えば「俺はバラの絵を描きたい」とはっきりさせることで、選手は「じゃあ俺は枝」「俺は葉」「俺は花」となります。葉の形や花の色は選手で決めてくれよ、と。それぞれが考え、おのずと個々の役割も明確になってきます。それが昨季の終盤でした。

-03年に新潟の下部組織のスタッフに就任後は指導者一筋

片渕 新潟のユース(現U-18)の監督の後、12年から15年には新潟に在籍しながら日本協会のナショナルトレセンで仕事をし、指導者養成のインストラクターや、14歳以下のコーチもさせていただきました。プレゼンの仕方は大人とこどもでは違うし、サッカーの見方も違う。自分の考えを整理することを学ばせてもらいました。指導者としての幅が広がった感じがします。

-今季、どんなシーズンにしたい

片渕 もちろん目標はJ1昇格です。苦しみながらも勝ち点を拾い、新潟のスタイルでJ1にチャレンジする。それをサポーターのみなさんに感じてもらう。そういうエキサイティングな1年を過ごすことができればいいです。

-漢字で表現すると

片渕 「笑」かな。楽しく仕事をし、練習も頑張る。笑うことは大切です。いろいろな思いながらも笑顔で過ごし、笑顔で終われるシーズンにしたいです。

◆片渕浩一郎(かたふち・こういちろう)1975年(昭50)4月29日生まれ、佐賀県出身。佐賀商、東海大を経て98年に鳥栖に入団。02年新潟に移籍し、シーズン後に引退。03年新潟ユースのコーチ、06年から11年まで監督を務める。教え子には元日本代表DF酒井高徳(ハンブルガーSV)がいる。16年新潟コーチに就任。同年9月に監督に昇格。17年はコーチ、18年はヘッドコーチから8月に監督に就任。現役時代はFWでJ2通算57試合出場13得点。