早野宏史総監督が初指導、ダジャレは「とけ込めば」

選手に指示を出すノースアジア大・早野総監督(撮影・野上伸悟)

Jリーグ横浜などで監督を歴任し優勝にも導いた名将、早野宏史氏(63)が9日、今年度から就任が決まったノースアジア大サッカー部(秋田)の総監督として初指導を行った。NHKのサッカー解説でもおなじみの同氏は、2007年の横浜監督以来の現場復帰。東北地区大学リーグ2部の同大の1部復帰をサポートし、さらには秋田のサッカーを盛り上げようと新天地にやってきた。

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テレビ解説でおなじみのダジャレこそ飛び出さなかったが、早野氏は初日から40以上年下の学生たちと精力的にコミュニケーションをとった。「そこっ、球際激しく!」。「おーい、苦しくなったらサッカーしないのか」。そして、軽いアドバイス後に、見違えるようなセンタリングを上げた選手には「今まで隠しとっただろ」と、会話の絶妙な押し引きで、選手のモチベーションを引き出した。

初指導を終えた早野氏は「若い頃は血の気があって怒ったりもしたけど、今はゆったりして選手の心を見て協調していこうと思っている。心が折れないようにやる気を起こして、チャレンジできるようにしたい」と話した。2月、最初にオファーをもらった時は、仕事との折り合いがつかず断ったが、学校側からの熱意に負けて引き受けた。同大のサッカーを発展させることで、将来的に小、中、高校と育成年代に与える影響を訴えられ共感した。「常々、自分は最後まで現場にいたいと思っていた。1人でもいい選手を育てたい。現場に出ることはイージーではないし、それはプロだろうが大学だろうが変わらない。そして東京や世界で起こっていることを秋田にも還元したい」と熱い思いを口にした。

青森山田出身の加賀屋幹太主将(2年)は「レイソルやマリノスで監督をされていたのを覚えていたのですごい楽しみだった。技術や戦術面だけではなく、経験が豊富な方なのでサッカー以外の部分でも学べたらと思います」と笑顔を見せた。ダジャレについて早野氏は「ダジャレって言われるのはつらいなあ。シャレって言ってよ。まあ、コーチングも解説と同じで人に伝える仕事。わかりやすくするためにたとえ話や比喩、つかみのシャレを使う。とけ込んでいけば、そういうコミュニケーションも増えてくるでしょう」。早野流指導で秋田のサッカーに新境地を開く。【野上伸悟】