コバルトーレ女川、JFL返り咲きへ「1日1日」

JFL昇格に向け再スタートを切るコバルトーレ女川の選手たち(撮影・野上伸悟)

東北社会人サッカーリーグ1部のコバルトーレ女川(宮城)は、14日の今季開幕戦(午前11時、女川町総合運動公園第2多目的運動場)でいわきFC(福島)と対戦する。震災を乗り越え、悲願のJFL昇格を成し遂げながらわずか1年で降格。東日本大震災復興支援マッチとして行われる開幕戦から、夢のJリーグ入りに向けて再出発を図る。

コバルトーレ女川が、夢に向かって再び歩を進める。ともに東日本大震災で被災した地域のいわきFCとの開幕戦を前に阿部裕二監督(47)は、「1年でのJFL復帰が理想ですが、簡単ではない。勝つことが大前提とはいえ、芯にあるのは町を元気にすること。目標に向かって1試合1試合、1日1日しっかり戦っていきたい」と話した。

奇跡のJFL初昇格と言われた昨季は第1ステージで4勝も、第2ステージは未勝利と振るわず、年間最下位で降格。地域リーグとは勝手が違い、北は青森から南は宮崎まで15チームで争われるJFLでは、慣れない長距離移動や仕事との両立などで体調維持に苦しんだ。日曜日に宮崎での試合を終え、飛行機とバスを乗り継ぎ深夜に帰宅、翌朝6時から水産加工の仕事に従事することも。阿部監督は「好不調の波があっても強いチームは最低限のパフォーマンスができる」と差を痛感。在籍14年目のFW吉田圭(31)は「周囲の方々に休みとかも協力してもらったのに、結果を出せず残念」と振り返る。苦しんだシーズンを糧に今季に臨む。

昨年のように勝利を優先し自らのスタイルを崩すことはしない。再登板となった阿部監督の理想は、バルセロナ(スペイン)を理想とするショートパスを多用したポゼッションサッカー。魅力的なサッカーなくして、人は集まらず、町の繁栄もないと思っている。「人とボールが連動して、見る人がワクワクするようなサッカーをしたい。もう1回見に来たいと思ってもらわないと」。20年春に球技専用の新スタジアムも完成予定で、コバルトーレの盛り上がりとともに、町の復興も徐々に進んでいる。宮坂瑠主将(24)は「1年での復帰あるのみ。町と一緒に成長して、町の人から愛されるチームになりたい」と再出発のシーズンに挑む。