新潟社長「この機会逃したら…」早期の監督交代決断

会見する新潟の是永社長(左)と吉永新監督(撮影・涌井幹雄)

J2アルビレックス新潟は14日、片渕浩一郎監督(43)の電撃解任を発表した。前日13日のホーム・モンテディオ山形戦は、ロスタイムに2-2の同点に追いつく劇的なドロー。9節終了時点で3勝3分け3敗(勝ち点12)の中位につけるが、J1昇格を目指すチームとしては物足りないとフロントは判断した。

新潟の監督途中交代は4シーズン連続。後任はアカデミーダイレクター吉永一明氏(51)が就く。14日にクラブハウスで是永大輔社長(41)が吉永新監督とともに会見した。

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片渕監督の姿は、もうピッチにはなかった。03年の新潟ユースコーチから17年間、新潟の指導に携わってきた生え抜き指導者の突然の解任。この日、JAPANサッカーカレッジとの練習試合で指揮を執っていたのは栗原克志コーチ(41)だった。

回復のトレーニングを終えた主力選手たちは「話さない」「答えません」と口をつぐむ。DF川口尚紀(24)が重い口を開いた。「気持ちの整理はできていないが、サッカー選手である以上、次の試合に向けて全力でやる。へこんでいたら逆に渕さん(片渕前監督)に怒られる」。

第9節を終え3勝3分け3敗。是永社長は「上位を目指すチームではない」と判断して、引き分けた13日の山形戦後に解任を告げた。「今年の選手はポテンシャルが高い。このチャンスを逃したら(J1昇格は)何年後になるか分からない」と早期の決断だった。毎シーズン、ホームは黒星先行だったが、今季もホーム戦はここまで1勝1分け2敗。「ホームで残念な流れを引き継いでいる」とも是永社長は話した。

後任の吉永監督は昨季まで新潟・S(シンガポール)の監督としてシンガポール・プレミアリーグで優勝している。Jクラブのコーチ経験は豊富で、今季はアカデミーダイレクターを務めていた。「在籍選手は、まだまだ力を出せる方法はある。彼らがもっと輝くやり方があると感じている」と話し、「短い時間で何かを変えるのは難しい作業」と困難な道を突き進む覚悟だった。次節は20日のアウェー東京V戦。休養明け16日の練習から1週間、冒頭だけを公開し、新体制のスタートを切る。【涌井幹雄】

◆吉永一明(よしなが・かずあき)1968年(昭43)3月17日生まれ、福岡県出身。福岡の下部組織の監督、清水のヘッドコーチ、鳥栖ユースの監督、山梨学院大付の監督、甲府のコーチなどを務め、17年に新潟・S(シンガポール)の監督に就任。いきなりリーグ優勝に導き、18年は21勝3分けの無敗優勝。2年間でその他のカップ戦など「全冠制覇」の偉業を達成した。今年から新潟のアカデミーダイレクターを務めていた。