札幌チャナティップ、ホームで今季初得点にサイコー

札幌対横浜 試合終了後、ファンの声援に手を叩いて応える札幌MFチャナティップ(撮影・佐藤翔太)

<明治安田生命J1:札幌3-0横浜>◇第8節◇20日◇札幌ド

待望のゴールが勝利への口火となった。コンサドーレ札幌MFチャナティップ(25)が、前半4分に今季初得点を挙げた。

勢いに乗ったチームは、同9分にDF福森晃斗(26)の直接FK、同29分にはMFアンデルソン・ロペス(25)のゴールで、横浜に3-0で快勝。今季2度目の2連勝で順位を8位まで上げた。「平成」最後のホーム戦を白星で飾った。

   ◇   ◇   ◇   

みんなが待ち望んだ瞬間だった。「コンニチハ、ミナサン。アリガトウ」。今季初めてお立ち台に登場したチャナティップの笑顔が、2連勝に沸くスタンドをほっこりさせた。「やっぱり初ゴールできて非常にうれしい。いいボールを出してくれたロペスのおかげ」。今季1号をアシストしてくれた仲間へ、感謝を口にした。

開始4分の速攻だった。ロペスからのスルーパスに反応し、相手GKをかわして右足シュートを決めた。同25分にも、体幹の強さと技術の高さでDFに体を寄せられても倒れず、ドリブルでゴールへと迫った。「自分のプレーがチームの勝利につなげられた」。昨季8得点でJリーグベストイレブンに輝いた実力を見せつけた。

第4節鹿島戦から第6節大分戦まで3連敗。チャナティップも、昨季よりも厳しくなった相手のマークで思うようなプレーができず、責任を感じていた。そんなときに救われたのは、リハビリ中のMF駒井の言葉だ。「引き過ぎちゃうか。相手ボランチじゃなくてDFと勝負せな」。昨年の仙台戦のピッチでも、積極性を欠いたプレーに叱咤(しった)され、自身を見つめ直したことがある。当時は直後に得点を決めた。この日も、持ち味十分に、高い位置で相手ゴールを脅かし続けた。

「平成」ラストのホーム試合を勝利で締めた。平成8年に誕生したクラブは、昨季J1で4位に躍進。新たな時代への過渡期に、赤黒ユニホームを着て活躍するチャナティップ。応援に駆けつけたスタンドの父コンポップさんにも勇姿を見せ、最後にはおなじみのセリフ「サイコー」で、喜んでいた。【保坂果那】

○…対策が奏功し完封した。守備時に普段の5バックから4バックに変更した。左サイドバックを担ったMF菅は「自分の役割は仲川選手に点を取られないことだった。1本裏をとられたが、それ以外は危ない場面はなかった」と胸を張った。ペトロビッチ監督は「今日の試合で重要なことは走ること、戦うこと、そして我慢だった」。普段3つ目には「規律を守る」を挙げるが、ハードワークで相手攻撃を封じて耐え忍んだ選手たちを「組織的に連動性を持って勝利に値するゲームをしてくれた」と、たたえていた。

○…FWアンデルソン・ロペスが得点ランキング首位に並んだ。2-0の前半29分、右クロスを頭で合わせ4試合ぶり、今季6得点目を決めた。先制点もアシストし、平成最後のホーム戦での2連勝に貢献した。ブラジル人助っ人は「前線3人の連係は全体的に良かった。いい関係を築けている」と手応えを感じていた。

○…DF福森が左足から正確なキックを繰り出した。先制から5分後の前半9分。ペナルティーエリア外、ほぼ正面からのFKで、ゴール左隅のネットを揺らした。今季初得点。試合前日に居残りしてFKの練習を行っていた成果が出た。「距離はあったけど、壁を越えれば入るって感覚だった」。両手を頭に添え、両足をクロスさせてポーズを決める、お笑い芸人ワッキー考案のパフォーマンスで喜びを表現していた。

○…高卒ルーキーMF檀崎がリーグ戦デビューを果たした。後半ロスタイム1分、チャナティップに代わって投入された。カップ戦3試合は経験済みも、目標だった初のピッチに「J1の舞台は(観客の)人数が多い。相手も疲れていて点差もあった場面なので、フレッシュな自分がもっとやるべきだった」と振り返っていた。