清水が篠田新監督の下で戦う集団に「甘え許さない」

篠田監督(左)は、大榎ゼネラルマネジャーと握手を交わす(撮影・神谷亮磨)

熱く、激しく-。清水エスパルスが篠田善之新監督(47)のもとで戦う集団に生まれ変わろうとしている。チームは15日、静岡市内で練習を再開した。文字通り「再出発」の初日。練習場はピリッとした緊張感と熱気に包まれていた。退任したヤン・ヨンソン前監督(58)のバトンを受けた篠田監督は声を張り上げながら熱血指導。選手には戦う姿勢とハードワークを要求した。

練習後の就任会見でもチーム立て直しへの強い決意を示した。「ピッチ上で甘えは許さない」。初日の練習からその思いを植えつけた。ラダーなどを使ったサーキットトレーニング後はピッチを大きく使ったパス回しを実施。タッチ数を制限し、味方をサポートする動きの質を求めた。採用した練習は消化するだけで走る距離と回数が増えるメニュー。約2時間半みっちり指導した。

精神論だけではない。課題克服に向けた意図も組み込まれている。11試合終了時で守備はリーグワーストの26失点。指揮官も「ハードワークが足りない」と指摘する。特に運動量が落ちた後半に18失点。90分間の走行距離でも11試合中8試合で相手より下回っており、走り負ける試合が多かった。

改革を試みる指揮官の熱意に選手も敏感だった。主将のMF竹内涼(28)は練習中に軽率なプレーをした選手を怒鳴りつけた。竹内は「みんなもチームをよくしたいと思っている」。頼れる主将は衝突も覚悟の上で味方を叱責(しっせき)した。選手の意識の変化に篠田監督も「こういうシーンが増えることを望んでいる」とうなずいた。

「目の色が変わっている。これを継続してやることが大事」と篠田監督。J2アビスパ福岡とJ1FC東京でシーズン途中から指揮を執った同監督の初陣はともに白星発進。18日は3位の大分トリニータが相手。熱血漢とともに、巻き返しへの1勝を目指す。【神谷亮磨】

◆篠田善之(しのだ・よしゆき)1971年(昭46)6月18日、山梨県生まれ。中京大卒業後、95年に当時JFLの福岡に練習生として参加。04年の現役引退まで福岡でプレー。05年から指導者に転身し、J2福岡とJ1東京の監督を歴任。監督としてJ1通算19勝10分け27敗。J2通算45勝28分け32敗。

○…監督交代に伴い、スタッフも再編成した。フィジカルコーチは土斐崎浩一氏(55)が退任し、国保塁コンディショニングコーチ(42)が就任。慰留に努めた大榎克己ゼネラルマネジャー(54)は「もう少しハードにやらせたいというこちらの意向と、土斐崎さんの方向性に違いがあった」と説明した。また、ジェリー・ペイトンコーチ(62)がGKコーチに就任することも発表した。