“大誤審”はヒューマン・エラー 確認する勇気を 

ノーゴール判定となった前半31分の湘南杉岡が放ったシュートの状況

Jリーグが自ら制作し、試合中の判定について毎週検証している動画コンテンツ「Jリーグジャッジリプレイ」の最新回が21日、DAZNで先行配信された。

今季初めて1シーンに絞って解説。17日のJ1浦和レッズ-湘南ベルマーレ戦(埼玉)で起きた、湘南MF杉岡大暉(20)のゴール不認定…「令和の大誤審」を取り上げ、Jリーグ原博実副チェアマン(60)日本サッカー協会(JFA)上川徹トップレフェリーグループシニアマネジャー(55)タレント平畠啓史(50)が議論した。当日、試合の実況を担当していた桑原学氏が司会を務め、ゴール内のサイドネットに触れながら認められなかった幻のゴールについて話し合った。

冒頭、上川氏が判定に至った経緯について説明。その後、議論に発展していった。解説を受け、桑原MCが「ということは(画面奥の)第2副審以外の方は全員、分からなかったということですか」と質問。上川氏は、手前の第3副審と第4の審判の位置取りを念頭に「近くにベンチもありますし、雰囲気や選手のリアクションを見ていると『入ったんだな』という考えは持っていたみたいです。ただ、最も正しく見える位置の第2副審からそれだけ強いメッセージがあると、印象だけで覆すのは危険なことなので。自分が何が見えたか。それがジャッジになるので。そして最終的な判断は主審がするので。主審が情報を受けて、ゴールと認めなかった」と話した。

すると、原氏が切り込んだ。「そこに問題があったんだろうね」。続けて「湘南のベンチの人も、もっと遠い人も全部(入っていたと)分かっていたわけだから。審判以外は。(浦和GK)西川のリアクションも『入れられたけど、切り替えていけ』とボールを投げているし、浦和の選手も『入れられちゃったね』と、うなだれているのに、雰囲気を分からず、副審だけの『入っていない』を通してしまった。そこで、ちょっとおかしいよね、と。通常はそれでいいと思うけど、ここまでの選手たちの反応はあまり見たことない。ちょっと待て、となっていれば、ここまでにはならなかったと思うけどね」と持論を展開した。

これに対し、上川氏は「試合がドロップボールで再開されたら戻れないけど、再開される前であれば、判定を変えてゴールだったと認めることもできる」とした上で、あらためて「選手のリアクションだけで我々は判定を下すことはしてはいけない。確証がないと。(審判団の誰か1人でも)明らかにネットに触れていたよ、としっかり見えていれば伝えて、4人で協議をして得点を認めることはできる。ただ、その情報が十分ではなかった。見えていなかったということなんです」と強調した。

その後、原氏は「湘南のベンチも何も、全員が見えていたわけだから。そこはフォローしてあげないといけなかった。もちろん、はね返りが速いとかあったけど、どう見てもスタジアムにいた人も分かっていた中で、審判の4人だけが気付かなかったとすれば、あり得ないこと」と指摘した。

平畠が「これってヒューマン・エラーですよね。それが起こった時、エラーだったねと認めて正しい判定に持っていくことができないのかなという議論」と補足すると、原氏は「ネットに当たっているのが分かっているから、選手たちのリアクションもでかかった。こういう時は1回、確認する勇気も必要だったんじゃないですか。変にこだわらなくて、普通じゃないと判断すべきだったのでは」と提案した。

その後、映像確認に関するルールの解説やVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の導入について議論。浦和-湘南戦だけにフォーカスした「Jリーグジャッジリプレイ」最新回の全容は、火曜日午前にDAZN(ダゾーン)先行配信か、金曜日に追って配信されるJ.LEAGUE.jpの動画コーナーおよびJリーグ公式Youtubeチャンネルで。今回は約1時間の収録を26分45秒に凝縮し、検証と展望について語り合った。