冨安育てた福岡久藤監督、井原イズム継承し男気決断

現役時代の久藤清一氏(10年撮影)

18位と成績不振にあえぐJ2アビスパ福岡は3日、ユース監督時代の13年から1年半、日本代表DF冨安健洋(20)の指導歴もある久藤清一コーチ(44)の新監督就任を発表した。

この日、ファビオ・ぺッキア監督(45)が「難しい決断でしたが、家族の問題が出てきて、日本にいられなくなった」として、家庭の事情を理由に退任を発表。その後任に、昨季からトップチームのコーチを務めていた久藤氏が内部昇格した。

2日大宮戦後、クラブ本社で、次期監督就任を打診されたといい「(ぺッキア監督退任を)いっさい聞かされていなかったので、辞めることの方に驚いた」。Jリーグで初めてとなるトップチーム監督に「なかなか考えられなかったのが事実」と語った。

だが福岡で98年途中からと、06~10年までプレーし、現役引退後は福岡ユースでコーチから指導者のキャリアを始めた「福岡愛」で「受けたからには覚悟をもってやる」と迷いはなかった。

自身も「おもしろいサッカーで、まだ勉強したかった」という前任指揮官流を継承し、ボール支配で主導権を握り圧倒的な攻撃力を見せるサッカーを目指すつもりだ。そこに昨季まで福岡を率いた元日本代表DF井原正巳監督(51=現J2柏ヘッドコーチ)から学んだ守備の要素も加え「両方うまく取れればいいかな」と、チームづくりの構想を描く。

方針を問われると「J1昇格を目指すのと、アビスパスタイルを浸透させ、より細かい部分でできていけば」といい、練習オフ明けの5日から選手に具体的な方向性を示し、就任初戦となる9日水戸戦に備える。

MFとして94年の磐田を皮切りにC大阪、福岡などで17年間プレーしJリーグ通算401試合出場21得点。10年に現役引退以降、福岡ユースのコーチや監督、熊本(現J3)のコーチなどを歴任してきた。

「難しいが新米監督に選手も協力してもらい、一丸でやっていきたい」と話し、突然のバトンタッチだったが、目の前の試合に死力を尽くしはい上がってみせる。