札幌、ミシャサッカー浸透しスルーパスからの得点増

練習する選手を見守る札幌ペトロビッチ監督(撮影・保坂果那)

北海道コンサドーレ札幌はリーグ前半戦を6位で折り返し、7日ホーム松本山雅FC戦(札幌ドーム)から後半戦に突入する。

ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)就任2年目の今季、新加入FWのアンデルソン・ロペス、鈴木武蔵(ともに25)がフィットし、戦い方に変化が見えている。サッカー分析のエキスパート「データスタジアム社」が集計した数字を基に、昨季と今季の前半戦を比較し、進化する札幌に迫る。

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今季の札幌は、昨季と違う顔を見せている。「超攻撃的サッカー」を掲げるペトロビッチ監督は前半戦を終え、昨季からの前進を感じている。同じ勝ち点27とはいえ、中身が大きく異なるからだ。

ペトロビッチ監督 昨季は私が1年目ということで、なかなか戦術が浸透していない中での戦いだった。狙いとするところが出せたり、出せなかったり、安定しなかった。今年は開幕当初から重要な選手にケガ人が多く、やりくりが難しい試合が続いていたが、そういう中でも、比較的安定して勝ち点を稼げており、戦術の浸透を感じる。チームとしての成長は十分にできたと判断していいだろう。

「ゴール」と「パス」に焦点を当て、比較したい。

(1)ゴール

昨季は前半17試合でリーグ最多の10得点をクロスから決めた。得点の47・6%を占めていたが、今季は2点、8・7%に減少。代わりにスルーパスからが6得点で26・1%に増加し、昨季1点、4・8%から向上している。

第2節浦和戦の前半27分、MFチャナティップが送ったパスにFW鈴木が反応したゴールなど、ロペスとともにスピードを生かし、相手の裏へ抜け出すパターンが増えた。昨季はMF駒井、MF三好(現横浜)らが放り込んだパスを、チーム得点王のFW都倉(現セレッソ大阪)やFWジェイが高さ、フィジカルの強さを生かして得点につなげていた。今季は新加入選手の持ち味が発揮されていると考えられる。

もう1つの特徴は、セットプレーからの得点増だ。第7節C大阪戦、第9節ジュビロ磐田戦のDF進藤のCKからのヘディング弾や、第8節横浜F・マリノス戦DF福森の直接FKなど。今季23得点(オウンゴール1含む)のうち最多9点(CK5、PK2、FK2)を決め、昨季20得点中5点と比較すると15・3%増えた。昨季途中から試合前日のセットプレー確認が定着しており、成果として表れている。

(2)パス

「ミシャサッカー」の精度の高まりは、パスの本数からも感じられる。17試合のパス総数(セットプレーをのぞく)は昨季比で697本増加。自陣へのパスが49・4%から47・5%に減少し、敵陣へのパスが50・6%から52・5%に増えている。安全に「下げる」ボールが減り、「前線へ」つなぐボールが増えた。相手のポジショニングを見極めた上で、パスを通すコースをつくる、人とボールの動きが向上。前方へのパス、スルーパスの成功率が高まった。

前半戦の悩みの種だった故障、離脱者は次々に復帰しており、戦力はそろいつつある。週1ペースで試合に臨む7、8月の日程は、調整面でプラス要素。ペトロビッチ監督は「サッカーは反復が非常に重要なスポーツだ。次週の試合までのトレーニングを確保できることは我々にとって重要なこと。期待できる後半戦と言っていい」と自信をのぞかせた。【保坂果那】