札幌ドロー「下を向く必要はない」ペトロビッチ監督

札幌対松本 引き分けに終わり肩を落とす札幌イレブン(撮影・佐藤翔太)

<明治安田生命J1:札幌1-1松本>◇第18節◇7日◇札幌ド

コンサドーレ札幌は松本に1-1で引き分け、リーグ後半戦は痛恨ドロー発進となった。前半7分にMF白井康介(25)の今季初得点で先制するも、同31分に同点に追いつかれ勝ち越せなかった。

FWジェイ(37)ら前線3人だけで計10本、チーム合計14本のシュートを放ったが、運も味方にできずゴールに嫌われた。リーグ戦下位の松本には今季2戦2分けで、勝ち点3を取り切れなかった。

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試合を終えた札幌の選手の表情は複雑だった。MFロペスは「数多くの得点機があったけど、今日は自分たちの日ではなかった」とつぶやく。

ジェイが「いいパフォーマンスを出せていた。アンラッキー」と言うように、チャンスは何度もつくれていた。それが得点にならなかっただけ。勝ちきれなかった悔しさと、主導権を握り続けた試合内容への充実感。誰もが2つの感情を複雑に交錯させた。

攻撃力は見せつけた。ジェイはこの日、チーム最多4本のシュートを放ち、2本がポストを直撃した。先制点につながる前半7分のヘディングシュートと、後半8分の左足シュートだ。わずかに捉えられなかっただけで「チャンスをつくるのが大事」と前向き。何度も訪れる絶好機は観客を魅了した。

ジェイ、ロペス、MF鈴木の前線3人の連係は、この日のテーマでもあった。2日前の練習でミハイロ・ペトロビッチ監督(61)は、「ビルドアップと前線のコンビネーションを選手に思い出してもらうためにトレーニングした」と何度も攻撃の組み立ての確認を行った。鈴木は「ミシャにも3人のコンビネーションについては言われていた」と明かす。後半34分にジェイからのスルーパスに抜け出した鈴木がペナルティーエリア内でビッグチャンスを迎えた。オフサイドを取られたが、鈴木は「形としてはいいものをつくれていた」と手応えを感じていた。

中2~4日の公式戦7連戦が終わった。7、8月は週1試合ペースのリーグ戦に集中できる。試合に向けた戦術の動きを体に染み込ませる時間も設けられ、チームの向上が期待できる。ドローでの後半戦スタートとなったが、その可能性を感じさせたこの日の勝ち点1も無駄ではない。指揮官も「こういう試合があるのがサッカー。悲観し、下を向く必要はない。次の試合に向かって準備をしていく」と、気持ちを切り替える。次節は今季ホームで敗れた大分から勝ち点3を取り返す。【保坂果那】