宇佐美復帰弾「まだまだ上に」主力流出G大阪救った

後半アディショナルタイム、G大阪FW宇佐美(左)は同点ゴールを決める。右は名古屋MF宮原(撮影・前岡正明)

<明治安田生命J1:名古屋2-2G大阪>◇第20節◇20日◇豊田ス

「ただいま」のあいさつは鮮烈だった。1-2とホームの名古屋グランパスにリードされて迎えたロスタイム。最後まであきらめない男が、同点ゴールをねじ込んだ。

ガンバ大阪に3季ぶり復帰のFW宇佐美貴史だった。「想像を絶する暑さ」と、久々に味わう日本独特の蒸し暑さに苦しんだ。しかし、集中力は最後まで切らさなかった。敗戦濃厚なロスタイム、ラストチャンス。MF小野瀬康介のクロスに頭で合わせた。「いいボールがきた。この試合で点を取れてよかった。(頭は)予想外だったけど」。クールに振り返る言葉に喜びをにじませた。

復帰戦でいきなり先発起用した宮本恒靖監督も「視野の広さ、最後に同点にする力を感じた」と評価した。新生ガンバの船出だった。この試合を最後にオランダ1部トウェンテに移籍するFW中村敬斗を含め、仏1部ボルドーに移籍したFWファン・ウィジョら今夏に主力が大量流出。唯一といえる補強が宇佐美だった。

「攻撃をリードするプレーがしたい」。G大阪の下部組織で育ち「天才」と称された男も、海外では挫折を味わって27歳と年齢を重ねた。出戻ったG大阪ではもちろん、主軸の座を狙う意気込み。「チームとしてまだまだ上にいける。個人的にもクオリティーを上げていきたい」と言った。

勝てなかった。しかし、宇佐美が勝ち点1をもたらした。「負けるより、勝ち点1を拾えて帰れるのはプラスに捉えたい」。宇佐美の実戦は3カ月ぶりだった。「最初はきつかった」と言いながらもポテンシャルは示した。新たな攻撃の担い手が、G大阪の逆襲を率いていく。【実藤健一】