浦和関根 鹿島小池との前ベルギー対決を心待ち

全体練習後、居残りでジョギングする浦和MF関根(右)とGK岩舘

浦和レッズMF関根貴大(24)が29日、埼玉・大原サッカー場で行われた非公開練習に参加した。ドイツのインゴルシュタットから復帰後、初のホーム戦となる31日の鹿島アントラーズ戦(埼玉)へ。居残りでシュート練習を行った後、いったんクラブハウスに引き揚げたが、誰もいなくなったピッチに再びGK岩舘と現れ、宿敵との対決に備えてジョギングで調整した。

同じ赤を基調とするライバル鹿島は、昨冬に日本代表DF昌子とDF西を引き抜かれ、今夏もMF安部、FW鈴木、DF安西の海外移籍を容認しながらもリーグ戦で暫定4位につける。浦和は9位だ。関根は「嫌な相手だと思う」と認めつつ「伝統あるチーム同士なので、今までのように激しい戦いになると思うし、そういう試合をしないといけない」。攻略法について「対人で優位に立てれば」と思い描いた。

思い出深い。19歳だった14年7月、J1リーグ初先発を飾ったのがホーム鹿島戦だった。1-1で引き分けたものの、プロで戦う自信を深めた一戦。レギュラーに定着した15年の5月には、同じくホームの鹿島戦で決勝ゴールを奪うなど年間2戦2勝を挙げた。「いいイメージはある。特に、ミシャ(ペトロビッチ元監督)時代は勝つことが多かった」。同監督の就任前も含めれば10~15年に11戦負けなし(6勝5分け)と得意だった相手。一方で16年のチャンピオンシップ決勝では、年間勝ち点では15もリードしながら敗れた屈辱も覚えている。今回は「欧州から帰ってきて初めてのホームがアントラーズ戦になる。楽しみですね」と闘志をみなぎらせた。

前日28日には、ルヴァン杯プライムステージの組み合わせ抽選会があった。準々決勝で早くも激突することが決定。9月4日にホーム、8日にアウェーで4強をかけて争う。さらに、ACLでは両チームとも準々決勝に駒を進めており、そろって勝ち上がれば10月の準決勝(ホームアンドアウェー)で対戦する。11月上旬(日時未定)にはリーグ戦のアウェー戦が控え、天皇杯でも相対することになれば、今季は最大7試合も顔を合わせることになる。「7回も戦うことになるかもしれない相手。その初戦になると思うので、しっかり取りたい」と先勝に導く決意だ。

救世主として、2年ぶりに古巣へ帰ってきた。浦和の下部組織から14年にトップ昇格し、17年に当時ドイツ2部のインゴルシュタットへ4年契約で完全移籍。昨季はベルギー1部シントトロイデンへ期限付き移籍していたが、保有権を持つクラブがドイツ3部に降格したこともあり、再挑戦の思いも胸に6月末、日本へ帰還した。Jリーグの第2登録ウインドー(夏の移籍市場)が開いた直後の今月20日、敵地ジュビロ磐田戦(エコパ)でいきなり先発に返り咲くと、主役になった。

左ウイングバック(WB)で相手を圧倒。1点リードの前半22分、自サイドでボールを拾うと、逆サイドの奥までグラウンダーのクロスを通し、右WB橋岡のチーム2点目をアシストした。同32分には3点目(MF長沢)の起点に。武器のドリブルを仕掛けたことでゴールまでの道が開けた。3-1の快勝。3得点は今季のリーグ戦でチーム初。しかも前半だけで、たたき出す原動力になった。

「もともとクオリティーの高い選手が浦和には集まっている中、自分のやることも、よりハッキリしてきている」。24、25日の“ミニキャンプ”(2部練習)など、磐田戦よりもトレーニングを重ねた分だけ手応えも増している。11対11の紅白戦も好プレーを連発。さらには、モチベーションが高まる理由があった。

鹿島の左サイドバック小池裕太(22)との対決だ。話題を振られると「そうなんですよ」と笑顔を隠さない。彼もまた、昨季はシントトロイデンでプレーしていた。ベルギーで「一緒に過ごす時間が最も長かった」という関係。関根が左太もも裏の筋挫傷で長いリハビリに励んでいた時、小池が試合に絡めない事情も重なって、日本人が最大6人もいたクラブの中で、最も多くの日々を共有するようになった。

夫人がいる関根が、選手寮で1人暮らしの小池を自宅に招いて食事したり「オランダに旅行へ行ったり。彼は免許を持ってなかったので、僕の運転で。お互いに思うところがあった」。その中で意識だけは高め合い、支え合ってきた。自身より3カ月早い3月に小池は日本へ戻ったが、鹿島でスタメンを奪取して海外挑戦の成果を示している。

一方の関根は、けがも癒え、小池が去った後の4月にきっちりベルギー初得点をマーク。地力を高めて帰ってきたことは、先の磐田戦で証明した通りだ。ともに上り調子で迎える対決。学年では1つ上の関根が「もし(かつての定位置)右WBで出ることになれば、小池“クン”とマッチアップすることになるんですよね。いろ~んな所から、攻めたいと思います」とニヤリ。J1レベルを超越する1対1を見せ、先輩の貫禄を示した先に鹿島戦の勝利が見えてくる。【木下淳】