小野伸二が札幌ラストマッチ、鈴木が金言感謝ゴール

札幌対浦和 ペトロビッチ監督と肩を組む札幌MF小野(右)(撮影・西塚祐司)

<明治安田生命J1:札幌1-1浦和>◇第22節◇10日◇札幌ド

北海道コンサドーレ札幌は浦和レッズと1-1で引き分け、J2琉球へ移籍する元日本代表MF小野伸二(39)の札幌ラストマッチを勝利で飾れなかった。

後半12分に先制されるも、同23分にMF鈴木武蔵(25)が同点ゴールを決めたが、何度もチャンスを逃し、勝ち越せなかった。今季最多3万5531人が集まったなか、はなむけの勝ち点3には届かなかった。

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札幌は6シーズン在籍した仲間に、花道を用意できなかった。後半12分にセットプレーから先制点を献上すると、前半3度の決定機を逃していた鈴木のギアが上がった。同23分、MF白井の右クロスからのこぼれ球に反応。ゴール前中央で反転しながら右足でゴールへ突き刺すと、ベンチの小野に駆け寄り、抱き合った。勢いを加速させて勝利を目指したが、2点目は決められず。「伸二さんの最後なので、勝利で送り出したかった」と、1-1の結果に悔しさをにじませた。

控えスタートの小野の姿が90分間、チームを1つにした。ピッチに立つ姿を見たいのは、ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)も、サポーターと同じ。「試合の展開によっては途中から入れなければいけないと思っていた。入れられなかったのは非常に悔いが残る」。試合後、本人にも直接謝ったという。だが、特別映像が流される、粋なセレモニーで送り出された小野に、思いはしっかり伝わっていた。「みんな大きなプレッシャーかかえてプレーしてくれていたと思う」と感謝した。

チームにとって、かけがいのない存在だった。練習をともにした選手は、だれもが成長した。今年3月、初の日本代表に選ばれた鈴木は、日の丸の大先輩からの言葉を胸に刻んでいる。「サッカー面だけじゃなくて、私生活から代表って自覚を持った方がいいよ」。自身の経験を生かした助言は重かった。主将のMF宮沢は「本当のプロフェッショナル。あれだけうまい人とやれたのは選手1人1人の財産」という。吸収すべきものは多かった。

シーズン半ばでの別れは、そう簡単には飲み込めない。だが、シーズンは続く。来週末17日には清水戦が待つ。現在暫定7位。MF荒野は「成長した姿を見てもらえるように、チームで頑張りたい」と前を向いた。この日、勝ち点1に終わった悔しさは、ステップアップへの大きなバネになるはずだ。【保坂果那】