鳥栖金崎燃えた2発「トーレス魂」で被災佐賀に勇気

鳥栖対仙台 激しくボールを競り合う2得点の鳥栖FW金崎夢生(左)(撮影・菊川光一)

<明治安田生命J1:鳥栖2-1仙台>◇第25節◇31日◇駅スタ

サガン鳥栖の元日本代表FW金崎夢生(30)が、継承する“フェルナンドトーレス魂”で逆転勝利に導いた。元スペイン代表FWが23日の前節神戸戦限りで現役引退し、金崎は「トーレスが抜けて1人1人やらないといけない気持ちが強かった」と、燃えていた。

0-1の後半32分、自ら奪ったPKを相手GKが手足を動かし揺さぶる重圧にも動じず「経験があるので大丈夫だった」と、ゴール左に決め同点だ。その6分後には「しっかり強いシュートを打つことだけを意識した」と、今度はゴール左から逆転のヘディングゴールを角度のない右隅に決めた。今季初の2得点で貢献し「チームが勝ってホッとしている」と喜んだ。

発奮材料はトーレス不在によるものだけではない。佐賀県は今週、九州北部で降った猛烈な雨による影響で深刻な浸水被害などに襲われた。金明輝監督(38)は「佐賀の大雨で被災された人に勇気を与えようと(選手を)送り出した」と言い、だれもがパワーに変えていたという。

前半はセカンドボールを拾われ主導権を握られる仙台ペースで「立ち上がりの入りが悪く、やろうとしたことができなかった」と指揮官が反省する出来だった。だが後半は、システムチェンジによりセカンドボールを奪うため中盤を厚くしたことで、強みの両ワイド攻撃が活性化。鬼気迫る猛攻で逆転し、被災地を勇気づけた。