主力不在の札幌本拠3発先勝 ロペス古巣相手に2発

札幌対広島 後半38分、勝ち越しゴールを決める札幌FWロペス(撮影・佐藤翔太)

<YBCルヴァン杯:札幌3-2広島>◇準々決勝第1戦◇4日◇札幌厚別

北海道コンサドーレ札幌は広島に逆転し、3-2でホームでの第1戦を先勝した。

約1カ月ぶりの復帰戦となったFWアンデルソン・ロペス(25)が、16、17年に所属した古巣相手に2発の活躍で勝利に貢献した。0-1の前半19分に同点弾、2-2の後半38分にPKで勝ち越し点を奪った。主力選手を欠くなか競り勝ち、クラブ史上初のベスト4へ前進した。初めてビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されたが、この日は適用される場面はなかった。

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ロペスは抑えきれない喜びを爆発させた。開始3分で先制点を許したが、前半19分。MFルーカスからの前線のパスに反応した。裏へ抜け出し、左足で決めた。両手を合わせて拝むようなポーズから、天を指さして仰いだ。「パフォーマンスを遠慮しようと思ったけど、気持ち的に高まった」と照れた。17年まで所属した古巣を気づかいながら、札幌サポーターと喜びを分かち合った。

1-2の後半3分、相手が2枚目のイエローカードで退場し、数的優位に立った。同6分のDF福森の直接FKで再び同点。同38分、MF白井が獲得したPKのキッカー役は、FWジェイに「もう交代するから蹴っていい?」と志願。この日2発目をしっかり沈め、拍手を浴びながらベンチへ下がった。

8月3日リーグ広島戦以来、約1カ月ぶりピッチでの83分は「途中から楽しくプレーできた」。開幕から好調で、リーグ得点王争い中だった4月に左膝靱帯(じんたい)損傷で長期離脱。「また得点を伸ばしていこう」と6月に復帰するも、恥骨周辺の痛みで2度目の離脱を余儀なくされた。「苦しかった。涙を流すくらい。家族がサポートしてくれた」と振り返った。

チームは今夏の移籍期間、J1クラブで唯一補強選手がゼロで、MF小野ら3選手が移籍し所属選手は24人となった。ペトロビッチ監督は「後半戦をしっかり戦っていくだけの自信と、自分たちのチームに対してのこれまでのトレーニングの蓄積があるからこその判断」と、補強しなかった理由を明かす。控え選手を含めチーム力の向上が順調なことを、この試合で証明したかった。日本代表FW鈴木ら主力4選手を欠くなか、ロペスも含め皆が結果を出した。

8日の第2戦は引き分け以上でクラブ史上初の4強入りが決まる。この日、会場に展示されていた、優勝チームが手にするルヴァン杯獲得を目指して敵地に乗り込む。【保坂果那】