山形山田「前回の経験を」J1昇格へミラクル再び

明るい表情でランニングする山形MF山田

ミラクルを再び巻き起こす。5年前に6位から昇格を経験したJ2モンテディオ山形MF山田拓巳主将(30)が、「失うものは何もない。自分たちらしさをぶつけたい」と同じ順位からの先導を誓った。12月1日はJ1参入プレーオフ(PO)初戦。アウェーで大宮を撃破して1段1段、階段を上がっていく。

ピッチ上で奇跡に遭遇した。14年の磐田とのPO準決勝。山田は勝つしかない状況で先制点を演出した。その後、同点にされて迎えた後半ロスタイムにドラマが待っていた。守護神・山岸範宏(41)がGK史上初となるヘディングを突き刺し決勝ゴール。「昇格が懸かった試合であんなことが起きて、何が何だかわからないぐらい本当にまさかという感じ」と回想する。劇的勝利の勢いで千葉も破り、J1切符を勝ち取った。

「前回の経験を踏まえて6位で臨むのは悪くないと思う。上位陣は引き分けでも勝ち上がれるアドバンテージがあるが、一発勝負では難しい部分だと思う。自分たちは精神的には楽」。12年からJ2の3~6位が最後の椅子を争う昇格POが始まり、18年からはJ1の16位も加わる参入POに形が変わった。上位は引き分け以上で90分を終えると勝ち上がれる規定だが、過去7年で6位チームの決勝進出は4度。12年の大分、14年の山形が昇格した。

山田は町田に敗れたリーグ最終戦翌日の25日が30歳の誕生日だった。「20代最後は悔しい終わり方だったが、次はいつ来るかわからないチャンスを全員でつかみ取った。30代は最高のスタートを切りたい」と力を込めた。「泥くさくでも相手より走り、ハードワークして、球際の部分でも簡単に負けず、11人で攻撃も守備もタフにできるのが強み」。クラブ一筋12年目の象徴が、山形らしさをピッチで体現する。【山田愛斗】