NPBとJが連係「主催者自身が主体的に」一問一答

NPB・Jリーグ合同会見で「新型コロナウイルス対策連絡会議」の設立を発表するNPBの斉藤コミッショナー(左)とJリーグの村井チェアマン(撮影・小沢裕)

日本野球機構(NPB)とJリーグは2日、都内で新型コロナウイルスに関連する合同記者会見を行い、「新型コロナウイルス対策連絡会議」の設立を発表した。

会見にはNPB斉藤惇コミッショナーとJリーグ村井満チェアマンが出席。両法人が連係して情報共有などを行い、ウイルスの感染拡大の防止、選手、スタッフらの安全確保を行っていく異例の取り組みとなる。

会見での主な一問一答は以下の通り。

-連絡会議に野球、サッカー以外の競技も希望するところあれば拡大するという考えはあるか

村井チェアマン Jリーグでいえば3月18日に再開の希望を持っていますし、野球でいえば20日という限られた日数の中での検討となります。今回は機動性をまず重視して2者間で行うことを決めていますが、逆に言えば我々2者のためのものではないという合意の仲でスタートしている。情報公開は即日、しっかりと行っていきたいと思います。

-今後の会議のスケジュールで決まっていることは

斉藤コミッショナー 明日(3日)の午後。先生方、Jリーグの関係者、それから12球団。全員参加できなければテレビで参加するといった形で開催いたします。次もできるだけ早くやりたいと思っています。

村井チェアマン Jリーグはいったん3週間の延期と決定しました。2月26日のYBCルヴァン杯から3月15日の明治安田生命のJリーグまでは日程延期しましたので、逆算すると極めて限られた日数ですので、明日の会議以降、複数回やるとしても断続的に感覚を短くして協議して参りたいと思います。

-それぞれで専門家チームをつくって検討するという考えもあった中で、日本の2大スポーツが連係してこういう風に対応していこうという結果になった狙い、意図は

村井チェアマン NPBとJリーグは組織間の連係はかねてからございましたし、25日の(Jリーグ延期の)重要な意思決定をする際に直接ご連絡をする仲でございました。一方で、25日のJリーグの理事会で、理事のメンバーから何か判断するときは感染症の有識者から専門的な助言をいただくべきという声をいただいていて。そういうこともあり、NPBさんの方にご相談した際に、NPBさんも専門家の方々との連係を模索されていました。感染症に関しては競技団体ごとに正解があるわけではなく、ひとつの対処策だろうということでしたので、NPBさんと連係をお願いしたということです。

-再開の意思決定はそれぞれの独自性を尊重するとのことだが、お客さんを入れてやる最初の1歩はある程度足並みをそろえてという気持ちが強いのか

斉藤コミッショナー まずそのお客さんなしのオープン戦を野球の場合、やろうと全員一致で決めましたけど、それはひとえに20日にはやりたいなと。3月20日にやるためにというとおかしいですけど、それを前提として、断腸の思いでお客さんなしでやろうという決断を代表者会議でやったわけです。もちろんもうまん延しているわけですから、決めたからできるわけではない。逆効果で選手が罹患(りかん)でもしたら大変なことになるし、開催どころではなくなる。しっかりと専門家の見通しを聞いた上で、完全な完治状態はすぐには表れない。では、どういう状況になれば、国民関係者の賛同を得て、ちゃんとしたスポーツを開催できてるのかをしっかり決めようと。自分たちで勝手に決められないから、こういう決断をした。もちろん、18、20日という(再開の)日程はありますけど、やはりJリーグ、野球という人気2大スポーツ、これはやっぱり国民にとっても同じような状況下で運営されたら良いと思いました。

村井チェアマン それぞれ独自に判断していこうとしています。大会形式も試合日数もシーズン期間も全く違いますし、無観客試合というようなスタイルだったり、試合日程をみての延期という問題だったり、それぞれのスポーツ界が持つ価値観や歴史とか文化、サポーターの思い、いろいろなものが個々ありますので。そこに関してはいただいた専門家のご判断も頂きながら、個々判断していきたいと思います。

-政府の判断も日々、変わる中で再開、開幕の判断は何を根拠に決断していくのか。また、そういう時にスポーツ界が横のつながりを持つことは素晴らしいことだと思うが、ともすれば「赤信号みんなで渡れば怖くない」というような怖さもあると思います。今回、2大スポーツ団体ということで、その決断が与える影響力もものすごく重いものがあると思います。この連係、会議が持つ答えの意味、影響力の認識は

斉藤コミッショナー おっしゃる通り、JリーグとNPBでこういうことをやるという影響は他のスポーツに相当、出てくると思います。ただ、別に赤信号みんなで渡れば怖くないということではない。スポーツファンもぜひスポーツを再開してもらいたいと思っていますから。みんなで何か安心じゃないですけど、納得できるような形をとることが、スポーツを振興している我々としてのひとつの責任。状況がすごく変わって、政府が何か言って、じゃあやろうかではなくて、我々、主催者自身が主体的に決めていきたい。

村井チェアマン 影響力とか影響範囲について、大変緊張感の高い協定であります。今回はさまざまな観点で、まず第一は人々の命でありますし、健康であることは間違いないですが、さまざまな考察や観点から複合的に判断しないといけない。例えば適度に体を動かすこと、心に躍動感や感動を感じて表現すること、これはある意味、免疫力を高めたり幸福感等々につながっていく、非常に重要な要素のひとつだと思っていますし。スポーツが健全に行われることが、やはり国民に貢献できる要素。またプロスポーツは大変裾野が広いですから、例えば飲食関係者や宿泊関係者であったり、公共交通であったり、さまざまな方が職業としてスポーツを支えていただいているので、そういう方の思いも視野にいれていかないといけないと思っています。

-現状で選手らに感染者出たら両リーグで考えていること

斉藤コミッショナー 最初に(NPBの)代表者で集まった時に考えたのが、オープン戦をどうするかということで、お客さんを入れないでやりましょうということを決定して、その次に考えたのがそれですね。サッカーもそうでしょうし、野球もまさしくチームのスポーツです。若い選手は同じ寮に入っている。1人でも罹患(りかん)したらそれはどうなるんだと。今回の病気をみていると、薬もないし、インフルエンザだと隔離して他の選手はプレーしているが、これはそういうことではどうもおさまりそうもないので。なかなか我々では結論が出せない。

村井チェアマン 私も同じです。サッカーはピッチの関係者、選手やスタッフ、レフェリーらさまざまな方々に囲まれて行われていますので。過去どういうケースで観戦があったかなかったか、濃厚接触があったか、その期間がどうか。それぞれで対処が違うので、専門家の対処をあおぎたいと思います。

-今、一斉休校になったり、子どもたちが行き場をなくして元気をなくしているという状況がある。そんな中で、両者の連係がこうした社会問題に対して、何か貢献していく新しいアイデアがあるのか。もし何かあればお聞かせ下さい

村井チェアマン Jリーグは第1節をさまざまな備えを行って明治安田生命Jリーグを全クラブで開催しました。YBCルヴァン杯も開催しました。その際にさまざまな知見を獲得しています。我々、統括団体として手洗い、マスク、アルコール消毒を十分備えていきましょうと言いましたが、実際クラブは第1節を終えた段階で、例えばエスコートキッズとのハイタッチだったり、マスコットが子どもたちとふれ合ったり、メディアと選手のミックスゾーンの距離感のはかり方だったり、さまざまな反省材料が豊富に寄せられました。そういう意味では第1節を行った中で得た知見は野球界のみなさんに還元できるものはあるのかなと思っています。

斉藤コミッショナー なんかこう元気になってもらいたいですよね。いろいろありましょうけども中国の状況、メールなどで見ていると、ずいぶん治って、患者は8万ぐらい出てますけど治った人が4万とか出てますし、どういう対策をしてそうなったのか、国としても情報を大いに学んでもらってですね、そういうことも先生方を通して我々に降りてくると。中国なんかは強烈な、地域自体も閉鎖、イタリアもそうですけど、日本の場合は自治体を中心にやっているのでやむを得ないと思っているんですよね。結局その中でみんなが自らどうやって守るか、いろんな団体があると思うしいろんな方々がいらっしゃるけどそうするしかない。スポーツがどういう対応をするかは非情にエンカレッジしていただけるんじゃないかと期待してます。個別に子どもさんにどうするってなかなか私ここで言えないけど、対応が、姿勢が、国民全体を前向きに考えていただけるようになればなと思っています。

-村井さん、クラブを使って選手を使ってとか、やってみたいアイデアは

村井チェアマン 39の都道府県に56のクラブがあること、これがJリーグの1つのアセットだと思っています。そういう意味では発信力ある選手たちが手洗いとか、うがいとかを呼びかけること、社会的影響力はあると思っています。サッカースクール等々こどもたちにむけても選手関係者が指導している場面が多々あります。一律に中止することは考えていませんが、例えばサッカースクールに電車でやってくる子どもには今回は遠慮しようとたったり練習時間を短くすることを呼びかけたり、練習後すぐ手洗い、うがいをすることを呼びかけたりやっています。Jリーグを使おうというキャンペーンをはっていますので、Jリーグの発進力、公共性の高い役割も活用していきたいと考えている。

-3月中旬にまとめる意見書は重要になると思うが、公式戦開催についての助言は開催すべきかどうか、観客いれるべきかなど踏み込んだものを答申してもらう考えか

斉藤コミッショナー 先生方の選考にあたっても、直接スポーツに関係のない先生方を意図的に選んでいる。スポーツに対する忖度(そんたく)があってはいけない、先生方は純粋に医療という意味で分析していただいてコメントをいただきたい。先生方に「開催していいですよ」とか「何日間待つべきですよ」とかそういうことはまず無理ですし、そういうことを期待している訳ではない。決定は我々の責任でそれぞれやる。それが科学的な根拠に基づいたものにしたいということで先生方にお願いしようという趣旨であります。