アスレジーナ本田新監督「まずは“市民権”得たい」

練習で選手に指示を出す静岡SSUアスレジーナの本田監督

今季、女子サッカーチャレンジリーグ・静岡SSUアスレジーナの監督に本田美登里氏(55)が就任した。現役時代は清水第八SCや読売SCベレーザ(現日テレ・東京ヴェルディベレーザ)でプレーし、日本代表でも活躍。引退後は岡山湯郷や長野などの監督を歴任した。選手、指導者として女子サッカーを支えてきた指揮官。出身地・静岡で新たなチャレンジに向かう意気込みなどを聞いた。【取材・構成=前田和哉】

1年でのなでしこリーグ2部復帰を目指す静岡SSUアスレジーナの指揮を託された。本田監督にとって、静岡での監督業は初だ。

-就任の決め手は

本田監督 三浦さん(代表理事)から、今のチームに外からの力を加えてオール静岡にしたいという言葉があった。一番の口説き文句だった。サッカーが土地柄の静岡。藤枝順心高が優勝したりもあるけど、なでしこJAPANが来ても会場は満員にならない。もう1度、女子サッカー発展の力にもなれればと思った。

-静岡のチームで監督を務める思いは

本田監督 誰もがサッカーを語れる街。ある意味、覚悟を持ってやらなければいけない場所だと思う。県民のみなさんが納得できるサッカーをしなければいけないという思い。

-チームは今季、運営母体を移管、名称も静岡産大磐田ボニータから変更して再スタートを切る。最終的な目標は

本田監督 目の肥えた県民のみなさんが、昼食や夕食でする会話に入っていけるチームになりたい。「今日の試合はどうだった」「あの戦術はこうだった」とか。まずは“市民権”を得たい。エスパルスやジュビロなどJリーグだけでなく、観客動員も含めて生活の一部になれたら。

-大きな目標への第1歩。今季の目標は

本田監督 最低でも、なでしこ2部には戻したい。21年には、プロリーグも発足する。先を見据えた中で、上のリーグでも戦えるだけのベースを作って、来年、そして再来年につなげていきたい。

-始動から約2カ月が経過。現在のチームから感じることは

本田監督 昨季まで新潟(なでしこ1部)でプレーしていた左山(桃子)が来てくれた。左山の基準でサッカーをやりたいなと。体脂肪率など、意識の部分から変えていきたい。

-公式戦初陣は、4月5日のつくばFC戦を予定。開幕戦の位置づけは

本田監督 注目を集め、継続していくためには結果も必要。勝たないと興味を持ってもらえない。始めの1歩というのは、すべてにおいて、1年を占う部分でも大事。勝って、注目をしてもらえるようにしたい。

◆本田美登里(ほんだ・みどり)1964年(昭39)11月16日、静岡市清水区生まれ。清水第八中-清水商高を経て国士舘大進学。清水第八SCの選手として全日本女子選手権4連覇。その後、読売ベレーザ(現日テレ)に移籍して92年に現役引退。日本代表で国際Aマッチ43試合出場。01年に岡山湯郷監督就任。07年に日本人女性初のS級ライセンス取得。11年にU-20女子代表コーチ、13年からは長野の監督を務めた。