専大北上2週間ぶり練習 感染0岩手は7日休校解除

ユニホーム姿で集合写真に納まる専大北上女子サッカー部の選手たち(撮影・野上伸悟)

全国で唯一、新型コロナウイルスの感染者が確認されていない岩手では、多くの学校が7日から休校措置が解除となった。1月の全日本高校女子サッカー選手権に、4年連続4度目の出場を果たした専大北上は、約2週間ぶりに練習再開。1年生14人が加入し、過去最多40人と厚みも増した。2年連続3度目の出場を目指していた全国高校総体は中止となったが、選手権の開催を信じながら、今年こそ常盤木学園、聖和学園の宮城2強の牙城を崩そうと燃えている。

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体育館が熱気に包まれた。女子サッカー部の「大運動会」。緑、黄、ピンクの3チームに分かれ、バスケットボール、ドッジボール、大縄跳び、ぐるぐるバット、リレーで優勝を争う。応援の声も絶え間なく響き、学年に関係なく作戦を出し合い、勝利を目指した。佐藤徳信監督(36)は「こんなに一生懸命やってくれるとは驚いた。ストレスもたまっていたんでしょう。おかげで、いいコミュニケーションがとれました」と絆の深まりを喜んだ。

1年生との交流を深めるため、これまではゴールデンウイークの遠征中に行ってきた。しかし今年は3月から休校の度に活動自粛。8日から2週間ぶりに練習を再開し、休日のこの日は午前中から近くの競技場で2時間汗を流した。1日でも早くチームの和を強めたいと願う選手たちは疲れ知らず。学校に戻るとすぐに体育館に集まった。

岩手では無敵を誇る。総体、選手権と7連覇中。昨年の全日本高校女子選手権では、宮城以外の東北勢で初めて勝利するなど、1歩1歩階段を上がってきた。しかし東北大会となると常盤木学園、聖和学園に歯が立たない。1月の東北新人戦では、準決勝でふたば未来学園(福島)に6-0で快勝。自信を胸に決勝に臨むも、聖和学園に7-0で大敗。ことごとくぶ厚い壁にはね返されてきた。

それでも20年の目標に「宮城を倒し東北チャンピオン。全国ベスト4」と掲げた。DF泉穂奈美主将、FW三井瑠奈(3年)、DF阿部沙梨菜(3年)の3人は、1年から全国舞台を経験。ラストイヤーにかける気持ちは強い。泉主将は「練習ができなくて、これまで築いてきたものが壊れてしまうのではないか」と不安を抱えながらも、自粛期間中は自宅で苦手なヘディングを鍛えてきた。エース三井は「選手権や皇后杯の開催を信じて最後までやりきりたい」と前を向いた。

阿部は、県外の強豪校への進学も考えたが「自分が入って常盤木と聖和を倒し、全国で戦えるチームにしたい」と入学した。これまでの2強との対戦で精神面の弱さを痛感。引っ込み思案だったが、最上級生となり、ミーティングでも積極的に発言するなど、意識改革に努めてきた。

「今までで一番力がある。それだけに本当は総体から力を試したかった。今後どうなるかわからないですが、この時期にいかにモチベーションを落とさずできるかが大切」と佐藤監督。ジャイアントキリングを実現するため、「来るべき日」に備える。【野上伸悟】