札幌来季戦闘服はパリコレデザイナー完全オリジナル

2021年の札幌ユニホーム ファースト(撮影・黒川智章)

Jリーグ初のパリコレデザイナーによる戦闘服だ。コンサドーレ札幌の来季ユニホームは、相沢陽介クリエイティブデレクター(43)がデザインを手掛けた。パターン(型)づくりからオリジナルのこだわりで、バランスを追求した赤黒の縦縞、7年ぶりの襟付き、アクセントのチェッカー柄など、デザインに込められた思いを聞いた。

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5日に発表された札幌の来季ユニホーム。札幌ドームに流れたプロモーション映像にサポーターは目を奪われた。赤黒の縦縞のファースト、黒を基調としたセカンド、白を基調としたサードの3種展開。パリコレデザイナー、相沢クリエイティブディレクターのこだわりが詰まった作品だ。

サプライヤーがカッパ社から新たにミズノ社に。同社の12年ロンドンオリンピック(五輪)の日本選手団ウエアのデザインを担当した同氏は、Jリーグでは異例となるパターン(型)づくりからすべての行程を自身で手がけ、完全な札幌オリジナルを実現した。

相沢氏 オリジナルの良い点は柄を入れる時にパターンづくりと同時に考えることができること。選手が着るものはタイトフィットというクラブの意向があった。けど、レプリカではサイズを変えることができる。通常だと選手用のパターンをそのまま使う。グッズとして考えた時に汎用(はんよう)性が生まれる。

昨年2月に同職に就任。ポスターやグッズなどをプロデュースしてきたが、ユニホームのデザインは特に誇りを持って取り組んだ。

相沢氏 今回はものすごいモチベーションになった。メーカーも変わるし、サポーターの中にはもしかしたらアレルギーが出る人がいるかもしれない中、細部まで凝って、アイデンティティーをしっかり入れ込まないと、自分の仕事がダメになると思ってプレッシャーもあった。

札幌としては14年以来7年ぶりとなる襟付きのデザインも、こだわりのひとつ。

相沢氏 僕の中ではコンサドーレってクリーンなイメージ。襟付きのユニホームって紳士的なイメージを持てるので。襟の形も付け方もどこのクラブにもないものにしようと思った。

発表後、サポーターからは「かっこいい」の声が相次いでいる。来季、思いを込めた戦闘服とともに選手が活躍してくれることを願っている。【保坂果那】

<各ユニホームのポイント>

▼ファースト

コンサドーレの歴史を当然僕が崩すわけにはいかないので、美しい赤黒を作りたいと思った。どちらの色を真ん中に持ってくるかも悩みながら。やっぱり赤黒って言われるので、赤の印象を作ろうと赤が真ん中に。僕は海外クラブのユニホームをたくさん持っている。ミランも好きで、歴代のミランでも美しいバランスのストライプというのが僕にはあって、それも見てみたりした。

チェッカー柄の部分はサポーターをイメージしている。僕は札幌サポーターの熱量が好き。今季は声を出した応援はできないけど、札幌ドームで響く声とか。ユニホームを着たサポーターのスタンドは渦のようになる。それを表現したかった。そのチェッカー柄を体中に沿わせて、クラブとサポーターが一体となったユニホームを作りたいという思いがあった。

▼セカンド

強さを象徴する黒がベース。赤黒の反転の黒赤に。日常でも着られるデザインにもしたかった。黒いパンツを合わせて普段着にしてもかっこいい。スポンサーが協力してくれて、コーポレートカラーを赤に変えている。ミズノも本来は白か黒か青だけど赤に。ソックスも1つ1つデザインしている。大抵無地が多いので。セカンドはグラデーション。コンサドーレにあこがれる若い子が全身そろえて着るとかわいいと思う。

▼サード

北海道をイメージした白。アウェーで着るものなので北海道を背負って戦うということで。ノルディック柄、雪の結晶、フクロウの羽で柄が構成されている。通常こういう柄はジャージーだけしか入っていないことが多いけど、パンツやソックスにもちりばめている。ファースト、セカンド含めて3種とも全身コーディネートがコンセプト。

▼GK用

黒とグレーのストライプ。以前、菅野に「キーパーって何色が着たいの?」ってリサーチをして。「黒か白が着たいけど、着れたことがないんですよ」って言っていた。GKのユニホームは規定が多い。審判とかぶっちゃうので真っ黒は無理だけど、黒とグレーで規定が通れば作ってあげたいと思った。選手の自尊心を高めてあげられるものを作ってあげたい。菅野が着たら、かっこ良かったですよね。

 

◆相沢陽介(あいざわ・ようすけ)1977年(昭52)10月25日、埼玉・所沢市出身。多摩美大卒業後、コムデギャルソンを経て06年から自身のブランドのホワイトマウンテニアリングをスタート。モンクレールやバートン、アディダスなどとコラボレーションし、デザインを手掛ける。多摩美大の客員教授も勤める。家族は妻と2男1女。

◆相沢氏が手掛けた主なユニホーム 12年ロンドン五輪日本選手団ウエア、18年トヨペットのエンジニア用メカニックスーツ、20年リーガロイヤルホテルのベルボーイやフロントスタッフほかの制服、ヤマト運輸のドライバーと窓口受付スタッフ用の制服。