藤枝FW吉平翼、退任する石崎信弘監督へ決勝惜別弾

後半42分に決勝点を決め、ベンチに向かって駆けだす藤枝FW吉平(左)

<明治安田生命J3:藤枝1-0福島>◇第32節◇9日◇藤枝総合運動公園サッカー場

藤枝MYFCは1-0で福島ユナイテッドFCを下し、2試合ぶりの白星を挙げた。後半42分に途中出場のFW吉平翼(22)が右足で決勝点。今季限りで退任する石崎信弘監督(62)に勝利を届けた。

豪快な1発だった。途中出場した吉平は「積極的にシュートを狙っていこうと思っていた」。後半42分、中央でボールを受けると、迷わず右足一閃(いっせん)。強烈な右足ミドルがゴール左上に突き刺さると、ベンチに駆けだした。石崎監督と抱き合って喜びを分かち合い、「決めたら行こうと思っていた」と声を弾ませた。

石崎監督も普段は選手と喜びを分かち合うことはない。7日に今季限りでの退任が発表されると、練習で選手に伝えた。「残り3試合で点を取ったら、ワシも一緒に喜ぶから」。期待して送り出した吉平が値千金の決勝弾。「いいゴールを決めてくれた」と、ベンチ前でヒーローを抱きかかえた。

前節C大阪23戦で敗れ、チームのJ2昇格は消滅した。目標はなくなったが、吉平は「このメンバーでできるのも限られている」と強調した。今季も残り2試合で、13日の八戸戦がホーム最終戦。負けられない理由はまだある。【神谷亮磨】