「120円Jリーガー」安彦が有終ゴールへPK練習

著書発売記念オンライン講演会を行うJ3YS横浜のFW安彦

41歳でJリーグデビューを果たし、現在J3のYSCC横浜で「年俸120円Jリーガー」としてプレーするFW安彦考真(42)が17日、著書発売を記念したオンライン講演会を開催し、20日に迫る藤枝MYFCとの現役最終戦(ニッパツ)への意気込みなどを語った。

安彦は18年にJ2水戸ホーリーホックとプロ契約を結び、昨年から所属するYSCC横浜でJリーガー3年目を迎えている。すでに今季限りでの現役引退も表明済み。この3年間のリーグ戦でまだゴールは挙げられておらず、FWとして今季最後、そして現役最後でもある藤枝戦で意地をみせたいところだ。

試合へ向けてはチームメートらも「(安彦に)点をとってもらいたい」と意気込んでいるという。安彦は「おそらくPKを獲得することがあれば、自分にキッカーが回ってくる可能性が高い」と最近はPK練習に励んでいることも明かした。Jリーグデビューは19年シーズンの開幕戦で、41歳1カ月9日で途中出場した。その時にジーコの持つJリーグ最年長初出場記録(40歳2カ月13日)を更新しており、20日の試合で得点すれば、J3最年長得点記録も更新する。

講演では自身の挑戦について「大事なのは、このチャレンジが誰のどういうことのためにあるのか」と熱弁。39歳でJリーガーを目指した背景には20代の頃に1度夢を諦めた「後悔」があったからだと語り「後悔は書き出した方がいい。後悔と向き合うことで、本当にやりたいことが見つかる」と話した。10代、20代の若い聴講者らへ向けては「自分は人生の豊かさは決断の数で決まると思っている。何事も始めるのに遅いことはない。でも、早いにこしたことはない。今ある後悔は早くつぶした方がいい。絶対に取り返せます」と語りかけた。

講演はスポーツに励む学生や指導者らを中心に約40人が聴講した。質疑応答でJリーガーになって感じたことを問われた際には「プロフェッショナルの定義を多くの選手が答えられない」と回答。「選手としてどうなりたいかという思いはあるけど、どうありたいかというものがない。そこが足りないということに気づいた」と力を込めた。続けて「みんな(サッカーが)うまいけど、ダンゴの中でやっていて、そこから突き抜ける人がいない」と口にし「レベルは高い部分での話かもしれないけど、誰かに遠慮したりとか、部活動とかで起きていることと同じような事がJリーグクラブでも起きている」と話した。

今回の講演は、安彦の著書「おっさんJリーガーが年俸120円でも最高に幸福なわけ」(小学館)が18日に発売することをきっかけに開催。自身の挑戦やその時の考え方などについて約2時間語った。安彦は「今日の講演が明日への勇気や元気など、何かの1歩につながればうれしいです」と締めくくった。【松尾幸之介】