小野伸二語った 僕が出るレベルならいい状態にない

練習の合間に笑顔を見せる札幌MF小野(撮影・浅水友輝)

J1が26日に開幕する。熊本キャンプ中の元日本代表の北海道コンサドーレ札幌MF小野伸二(41)が、24日までにオンラインインタビューに応じた。19年夏にJ2FC琉球へ移籍したが、今季から約1年半ぶりに古巣クラブでJ1に復帰。現在41歳5カ月。得点を決めれば、94年にジーコ(鹿島アントラーズ)が記録した41歳3カ月12日のJ1最年長得点を更新する。それでも「僕が試合に出るレベルであればチームとしては非常にいい状態ではない」と大局的な視野に立ち、若手の奮起を促した。【聞き手=保坂果那】

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-27日ホーム横浜FC戦で開幕する

小野 いよいよ始まるなって感じですし、ここまでケガなくやってこれて、状態も悪くない。チームとしてもみんな試合に向けて非常にいい状態だと思う。

-19年夏以来の札幌への復帰

小野 またチャンスをいただけたことに感謝している。この北海道をもう1度盛り上げて、タイトルを取れるチームになるよう、少しでも協力できればいいと思った。実現できるチーム、クラブだと思う。そこに対して全力を尽くしていきたい。

-浦和時代にも古巣復帰を経験した

小野 戻ることに関して、より責任を感じるようになる。簡単なことじゃないと思う。以前在籍していた時より何かしら違ったものを見せないといけない。

-横浜FC・FWカズ(三浦)、MF中村は自分より先輩

小野 カズさんは情熱を持ち続けられるのは、すごいとしか言えない。雲の上の存在。俊輔さんに関しては長くJ1、日本のサッカーを支えてきた。そういう選手とまたJ1という舞台で同じピッチに立てれば、すごく楽しみ。

-開幕戦での対戦も

小野 もうこの年代になると開幕戦もそうだけどピッチに立てるように、メンバーに入れることを念頭に置いてやっている。それが、結果としてかなう、かなわない関係なく、そこに向かうってことが僕らにとってすごく大事なこと。

-札幌での自身の役割は

小野 今までどおりピッチの上でみんなに自分の経験をプレーの中で伝えて、チーム全体が常にいい状況、いい雰囲気でサッカーに取り組めるような、そういう環境づくりをしたい。

-22日にチームに合流したペトロビッチ監督が不在でのキャンプだった

小野 ミシャさんがいなかったけど、ヨモさん(四方田ヘッドコーチ)をはじめ、スタッフ全員が協力して、常にいい雰囲気の中でトレーニングをさせてもらえた。僕もその中でピッチの上で雰囲気を良くするために一緒になって協力できたと思うけど。ミシャさんが帰ってきて、本当の意味でチームがスタート。とにかく開幕まで時間がないけど、また気持ちを1つにしていきたい。

-前回札幌在籍時は主にボランチ。今季は練習でシャドーも

小野 ポジションどうこうというより、正直僕が試合に出るレベルであればチームとしてはいい状態ではない。たくさんいい選手がいる中で、そういう選手が自信を持って、まず自分たちがピッチに出ると、前面に出してもらうことが僕にとってすごく大事なこと。もちろん試合に出たいって気持ちも強くあるけど、それ以上に今いる選手たちがもっともっとレベルアップさせたいって気持ちもすごく強くある。

-J1最年長ゴールへの期待

小野 そういう記録はすごく大事になるもの。みなさんの記憶に残るものなので、どんな時でも目指したいって思いはあるけど、僕が点を取る喜びよりチームが勝つ喜びの方が大きいので、それが重なって、自分がゴールしてチームが勝つことができれば、幸せなこと。

-将来的な引退へのイメージ

小野 まだサッカーができる環境をいただけている。そこを頭に入れながらプレーするのはピッチに立つ者として失礼にあたる。そんなことより、とにかく今、自分がここでサッカーができることに喜び、感謝しながら、自然とそういう流れになれば、そういう方向に向かっていくだけ。

-今季のチームとしての目標、個人としての目標

小野 1試合1試合、目先の試合に集中して、勝ち点3を取り続ける。簡単なことではないけど、とにかくタイトルを取ることを目指してみんなでやっていきたい。個人的には少しでもそういう試合に関われるように努力して、ケガなく1年を終えたい。

◆小野伸二(おの・しんじ)1979年(昭54)9月27日、静岡・沼津市生まれ。清水商から98年浦和入り。01年オランダ・フェイエノールトへ移籍し、06年浦和復帰。08年ドイツ・ボーフムへ移籍。10年清水、12年オーストラリア・ウェスタンシドニー、14年札幌、19年琉球へ移籍し、21年札幌復帰。W杯は98、02、06年の3大会出場。J1通算201試合29得点。175センチ、74キロ。家族は夫人と2女。