サッカーの日本フットボールリーグ(JFL)は、14日に2021年シーズンが幕を開ける。高知ユナイテッドSCは、14日にヴェルスパ大分とアウェーで対戦する。日刊スポーツではWEB連載として、仕事とサッカーを両立しながらJリーグ入りを目指す選手を紹介。最終回は病院に勤務するFW西村勇太(27)です。
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現役を続けるか、引退するか、何度もそのはざまで揺れた。FW西村は鋭いドリブルと、精度の高いパスを武器に、昨季はJFLの高知で15試合に出場。攻撃の要として、存在感を発揮した。アルバイトをしながら現役を続けている。ひたむきに夢を追い続けながらも、今後の人生を考えると、悩まずにはいられない時もある。夢と現実、その葛藤があった。
「やめようと思ったことは何度もあります。プロにはなれなかったし、みんな給料が上がっていくのに、サッカーをしていて、引退したらスタートが遅れる。ちゃんと仕事した方がいいんじゃないかと思った」
大阪・枚方市出身。立正大淞南(島根)3年時に、インターハイで4強まで上り詰めた。準決勝で桐蔭学園(神奈川)を相手に1-2で敗れはしたが、後半に意地のゴールを決めた。強豪のびわこ成蹊スポーツ大を卒業。プロの道はかなわず、社会人チームのFC伊勢志摩、アルテリーヴォ和歌山でプレーした。移籍先が決まらず引退を考えた際、建設業を営む父からハッパをかけられた。
「『そんな中途半端な、辞め方をするな』って言われました。でも、確かにカッコ悪い。最後、出し切って終わりたいと思った」
現在は高知市内の病院に勤務しながら、今もなお、ひたむきにボールと夢を追い続ける。18歳から100歳近くの高齢者まで入院している病院だ。仕事は病室の清掃、食事の配膳などだが、患者の話し相手になるのも重要な仕事だ。
「認知症で他のことは忘れているのに、自分がサッカーをやっていることだけは覚えてくれている。『勝った? 負けた?』とか、『新聞見たよ』とか『頑張ってね』って言ってくれます」
家族、指導者に加え、病院関係者、入院患者からも、期待され背中を押してもらっている。
「JFLに昇格した時も喜んでくれた。(クラブ)ライセンスが取れたときに、J3に上がれるように、高知にJクラブが作れるように、頑張りたいです」
応援が力になる。まだまだユニホームを脱ぐのは先だ。
今は、全力で戦う。【南谷竜則】