25周年札幌野々村芳和社長「何のためにあるのか、立ち返り進む」

札幌野々村社長(19年10月23日撮影)

コンサドーレ札幌は、16日にクラブ創設25周年を迎える。00~01年に選手としてプレーし、13年から現職を務める野々村芳和社長(48)が節目に際してインタビューに答えた。クラブのこれまでの歩みや今後の展望について、経営者の視点から語った。(聞き手=保坂果那)

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-25周年を迎えて

野々村社長 通常の周年と違って、コロナの中でのイレギュラーな対応が多く、特別感はあまりないけど、でもいつも周年の時に思うのが、まだ何もない時からつくってくれた人たち、サポートしてくれたスポンサーやサポーター、頑張ってくれた選手があっての今。感謝の気持ちが一番強いかなと思う。

-現役時代の所属時に比べてクラブは成長した

野々村社長 選手と今の自分で見ている景色が全然違うから単純に比較はできないけど、昔も今も変わらずホームゲームでのサポーターの空気は変わらないって感じかな。

うちのクラブはJリーグで18番目にできた。今は60クラブ近くあり、上のクラブとはだいぶ差をつけられたような感じはあるけど、なんとか上のクラブについていけそうな感じになってきた。そこに関しては成長はしているかなと思う。

-上のクラブとの差とは規模面

野々村社長 自分が社長という立場からすると、そういうところ。コンサドーレの絶対評価なら、たくさんサポートしてくれる人、関わってくれる人が以前と比べてはだいぶ増えている。社長就任9年目になるけど、売り上げも4倍近くになってきている。ただ上のクラブも伸びている。リーグ全体の相対評価や世界との比較だと、まだまだ力の差はあるだろうなと思う。ここからもうワンランク上のクラブに近づくためには、何らかの変化がないと難しいと思っている。

-クラブの成長過程での昨季からのコロナ禍

野々村社長 この大変な時にしっかり前に進められるクラブがクラブ力があるということ。資金的なものに関しては。だから国内の上位のクラブとの差をつけられないように、どうしていくか。一方でクラブライセンス、会社、クラブをどう守っていくかをやらないといけないわけで、簡単じゃないけど、後退するわけにはいかない。

-資金面でのダメージも

野々村社長 この状況がいつまで続くのか、うちだけの問題ではなく、サポートしてもらっているパートナー、サポーター、全ての人のベースが変わっている。正直なかなか読み切れないところはあるけど、それをテクニックでどうしようというより、こういう時は立ち返って、クラブが何のためにあり、どういう人たちの力になるのがクラブとしての役割なのかということを、今までと同様に一生懸命やるしかない。

-展望は

野々村社長 この世界は国内だけじゃないから、日本のサッカー界全体で例えばヨーロッパに追いつこうとするためには、各クラブもそのつもりでいろんなこと、今できることからちょっとずつ積み上げていかないといけない。みんなが聞きたいのは何年後に優勝、タイトルをって話かもしれない。相対的にはまだ15番目のクラブでしかない。クラブの経営者としてそういうことを言うのは難しいこと。言えるくらいクラブが大きくなるといいなとは思っているけど。

ただ選手と社長では、当たり前だけど違う。自分も選手なら多少相手の方が強くても何とかやれる、やってやると言う。それが普通。現場はそのつもりでやって欲しいし、チャンスはそれなりにはあると思うから頑張って欲しい。けど、こっち側が大して強化費を与えられていないのに勝てとは簡単には言えない。

-サポーターへ

野々村社長 コロナで世界中いろいなことが変わってしまって、この先以前と同じようになるかわからない。だけどコンサドーレのまわりが以前と違った景色になったとしても、良くならないといけないと思う。今までやってきたようにみんなで関わってつくり上げていく。ずっとそこに参加して欲しいなという感じかな。

コンサドーレはJ1に定着しつつあり、良くはなっていると思うけど、まだまだ国内のトップクラブと差がある。その差をどうやって埋めてきたかは、選手たちだけじゃなくて、ホームアウェー問わず駆けつけてくれるサポーターの目に見えない力。何とかしがみついて、ちょっとずつ上がってきた。こういうコロナの状況だからこそ、もう1回みんなでコンサドーレの一番のストロングポイントを出していけたら。

◆野々村芳和(ののむら・よしかず)1972年(昭47)5月8日、静岡・清水市(現静岡市清水区)生まれ。清水東高、慶大から95年に市原(現千葉)入りし、00年札幌移籍、01年シーズン終了後に現役引退。13年に社長就任。現役時の成績はJ1通算118試合6得点、J2通算36試合2得点。