青森山田の「実力は間違いない」前回優勝経験J2琉球・武田英寿が太鼓判

19年12月、プレミアリーグファイナルを制し、優勝カップを掲げる青森山田MF武田英寿(中央)

王座奪還を「ヒデ」も待ちわびる。第100回全国高校サッカー選手権(東京・国立競技場ほか)が今日28日に開幕する。19年度の青森山田主将で、今季はJ1浦和、期限付き移籍先のJ2琉球でプレーしたMF武田英寿(20)は、公式戦25試合(J1、J2、ルヴァン杯)に出場し、プロ初ゴールを挙げるなど躍動。来季はJ2大宮で再び武者修行する。2大会連続準優勝の青森山田は、31日に大社(島根)と初戦を迎える。自身は高校2年時の18年度に優勝を経験。それ以来の頂点へ「実力は間違いないです」と期待を抱く。【取材・構成=山田愛斗】

青森山田で背番号「10」を背負ったプロ2年目の武田が、今後の飛躍を予感させた。今季前半戦は浦和でリーグ8試合(先発4、途中4)、ルヴァン杯2試合(先発2)に出場。後半戦は期限付き移籍した琉球で15試合(先発12、途中3)でプロ初ゴールを含む2得点を挙げた。昨季がリーグ3試合(先発1、途中2)、ルヴァン杯1試合(途中1)だったことを考えると、充実した1年を送った。

「自分が高校の時は『浦和で1年目から活躍』というのを思い描いていたので、『順調か?』と言われると『どうかな?』と感じますが、確実に少しずつステップアップできていると思います」

手応えはあった。開幕3試合で途中出場し、その後も3試合連続で先発するなど「今年はいいスタートが切れたかな」と開幕から9試合でベンチ入り。ただ、アクシデントで流れが変わった。4月11日の徳島戦で左足首を負傷し戦線離脱。試合復帰に1カ月以上を要した。5月30日の名古屋戦でピッチに戻ったが、前半のみの出場でハーフタイムに途中交代。しばらくはベンチ外が続き、7月末に活躍の場を琉球に移した。

「(琉球では)90分戦うことや得点を決められたことが大きな収穫だった。もっと点を取れる場面はありましたが、ゴールに向かって積極的にシュートを打ち、試合感覚をつかめたのが一番良かったです」

琉球加入発表から12日後に新天地デビューを果たす。8月9日の北九州戦。後半開始から出場し、1点を追う同23分にFKでプロ初ゴールとなる同点弾を沈めた。「キッカーとして見られがちですが、なかなかFKを決められなかった。初ゴールは強気に蹴った結果。ラッキーな形でしたが、すごくうれしかったです」。チームは逆転勝ちし、再出発を最高の形で飾った。

24年パリ五輪世代ということもあり、今夏は東京五輪のU-24日本代表のトレーニングパートナーに選出された。7月5日からトレーニングキャンプに約2週間参加。アーセナルの冨安健洋(23)やドイツ2部デュッセルドルフの田中碧(23)らから刺激を受けつつ「自分の中で『まだまだ甘かった』と圧倒的な力の差を感じ、『もっと頑張らなくては』と思いました」。自らの現在地を知るきっかけになった。

小学校卒業後、地元仙台を離れて青森山田中へ進学した。中学2、3年時には全国制覇。高校では2年時から主力に定着すると、18年度の全国選手権は全5試合に先発し、1ゴール2アシストと優勝に貢献した。主将として臨んだ19年度の選手権も全5試合で先発し、4ゴール1アシストをマークして準優勝。同年のプレミアリーグEASTでは、13試合で12ゴール3アシストと圧倒的な成績で優勝に導き、プレミアリーグファイナルも制した。常に全国トップレベルで戦った青森での6年間だった。

「青森山田(高校)は3学年で150人以上がいて、それぞれが高みを目指す中で、ピッチに立てるのはたった11人。親元を離れて、プロになるというのをひとつの目標に、みんなと切磋琢磨(せっさたくま)して競える環境は、改めて振り返ると、素晴らしかったと思います」

今季の青森山田の主力は武田が3年生の時に1年生だったメンバーが中心だ。「上(トップチーム)に絡んでくる選手も多く、この1年生たちは強くなるんだろうな」と感じていたという。その筆頭株が現主将のMF松木玖生(くりゅう、3年)で、19年度の選手権で1年生ながら武田と並ぶ4ゴール。日本一を決めるプレミアファイナルでも決勝弾を決め、一目置く存在だった。

「玖生は勝ちに対して貪欲で、一番はメンタルが強くて、勝負どころで必ず結果を出します。外から見たら『生意気なんじゃないか?』と思われがちですが、すごく真面目で、日常生活も気を使いながらやっていますし、めちゃくちゃいい後輩です」

普段は松木から「ヒデさん」と呼ばれていたが「試合中は全然呼び捨てですし、1年生から見る3年生って怖いじゃないですか。すごいなと思いましたね」と懐かしむ。「僕は先輩に意見を言えるようなメンタルもなく、玖生ほど実力もなかった。玖生は1年の時から意見を言ってくれたし、本当にいい関係でした」と頼れる仲間だった。

青森山田は3大会ぶりの王座奪還へ突き進む。

「今年は100回大会、決勝も国立(競技場)で、例年以上に注目され、プレミアEASTとインターハイの2冠で、そこでも注目されます。いろんな声が聞こえるでしょうし、また違った難しさがあるのが選手権ですが、青森山田らしく、いつも通り戦えれば優勝できる力はあると思います。実力は間違いないですし、応援しています」

常勝軍団の系譜を受け継ぐ後輩たちの成功を、心から願っている。

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◆武田英寿(たけだ・ひでとし)2001年(平13)9月15日生まれ、仙台市出身。なかのFC、仙台ジュニア、青森山田中、青森山田高を経て20年に浦和入団。今季途中から琉球、来季から大宮に育成型期限付き移籍。J1通算11試合無得点、ルヴァン杯通算3試合無得点、J2通算15試合2得点。名前は元日本代表の中田英寿氏が由来。178センチ、69キロ。血液型O。