秀岳館・段原監督「責任は私にある」教頭「生徒は悪くない。職員の責任」/会見主なやりとり

記者会見でサッカー部の暴力問題を謝罪する秀岳館・段原監督(左端)と学校役員(撮影・岩下翔太)

熊本県八代市の私立秀岳館高は5日、サッカー部の30代男性コーチが3年生部員に暴行して書類送検された問題で、記者会見を開いた。本件以外にも複数の生徒、複数の事案で暴力行為があったことも明るみに出た。

会見での主なやりとりは以下の通り。

 

-生徒へのアンケートでは他にも暴力はあったのか

渡部教頭 全生徒を対象に心のアンケートということで調査を行った。サッカー部に関しては38件。そのうち職員から生徒への暴力は25件。生徒間での暴力は13件。サッカー部以外の生徒では15件。職員から生徒への暴力行為は9件。生徒から生徒のものは6件。3年生に関しては入学から現在まで。2年生は入学から現在まで。1年生は約1カ月のアンケート。

-暴力行為の中身については

渡部教頭 まず、行為を行った30代男性コーチに関しては24件。あとはいろいろこまごま調査を行った。詳しくは個人情報があるため、そのあとのことは控えさせていただきたい。

-釈明動画について、部員たちが自主的に行い、監督は知らなかったといっていたが、監督や学校は関わっていたのか

白井教頭 先ほどの補足。暴力行為の件数には軽微なものも含まれている。階段で肩が当たったなどのものも含まれている。そこはご理解していただきたい。職員が寝ている生徒の肩をもんだなどのものも含まれる。(関与の)質問については、真実かどうかとしては、学校としては事実として受け止めている。21日の夜に生徒と監督で話し合いをし、なんらかのアクションを起こさなければならないとなり、動画を出そうということになった。初めはテロップを用いた動画があげられていたが、次の日の朝にミーティングにおいて、4人が動画をアップした。事実と違う内容であり、監督からアップしてくれ、と言われたと言っていた。9人が参加し12人が動画に関与。監督が来られて、4人ではなく全員で撮った方がいいと言われた。1人が動画を撮り11人が動画に出た。こういうポイントで撮りなさい、とは監督から言われ、悪いことをしているんではないからマスクを取って撮りなおした方がいいと言われた。監督からはOKをもらい、公式のツイッター、インスタグラム、TikTok(ティックトック)に許可を得て流した、というのを生徒から出てきた。そのため学校としてはこれが真実として考えている。

-監督はなぜそのような発言(関与の否定)に至ったのか

段原監督 当初は動画がアップされた後と言っていたが、生徒たちからの申し出を受けて同じ気持ちであったため、そこに賛同し一緒に考えてきた。これが自分の回答になっているというのが事実。申し訳ない。

-顔を出した方がいいというのも監督の意見?

段原監督 話し合いの中でそうなった。

-職員からサッカー部の生徒へ、が25件というのは、他の職員も含めてなのか、寮などの中というのもあるのか

渡部教頭 場所については寮内や校内や部活中。

-25件は学校が重要視したものなのか、軽微なものも含めた数なのか

渡部教頭 25件中内容は1つ1つ違うが、中には厳しいなというものもある。どういう内容にしても暴力は絶対に許されるものではないと思っている。私たちが調べた限りでは25件のみ。

-ネットでは暴言などもあるが、現時点で調べているのは接触のある暴力のみ?

渡部教頭 ネットでの暴言などについては学校のほうで調査をして対応中。

-生徒間の暴力の件数に関しても軽微の数を含めたもの?

渡部教頭 はい。

-釈明動画は、学校側としては監督が主導なのか、生徒が主導なのか

白井教頭 その場にいなかったので、どういう言い方をしたのかは分からない。生徒の話を事実として受け止めると、監督から言われたという生徒、提案されたという生徒もいる。捉え方は生徒それぞれ。監督を信頼している生徒からすると、提案と思う生徒も、監督の言うことは絶対と思う生徒もいる。学校としてはどちらとも言えないが、生徒の書いてある、それぞれの生徒に対する心のケアも踏まえて対応させていただきたい。

-そもそもテロップの動画は誰の提案? 生徒か監督か

白井教頭 生徒によっては僕が言ったという生徒もいるし、監督から言われたという生徒もいる。多分という言葉はいけないが、話し合いの中でそうなったんだと思う。ただ、話し合いに関しては生徒が監督のほうに持ちかけて行われたというのは間違いない。

-なぜ顔を出してマスクを外したのか

白井教頭 生徒の文章によると、別に悪いことをしているわけではない。きちんと全国の人に謝るのであれば、きちんと名前と顔をさらした方がいいという話があったと書いてあった。

-学校としてはどう考える?

白井教頭 生徒の顔を出して名前を言って、被害者生徒が出るなんてことはあってはならないと思っている。

渡部教頭 SNSに名前と顔をさらすのはとてもリスクの高い行為。止めるべきだった。また、学校が、もっと早く謝罪できていれば生徒を苦しめることは無かった。生徒は悪くない。学校の責任。深く反省している。

白井教頭 先ほども話したが、私と渡部が気づいた時点ですぐに動くべきだった。「強制して下げさせる事も厳しいと」言われてちゅうちょしてしまったのも事実。ネット関係は最終的に指導者が確認した上でアップするべきである。生徒たちにネットの怖さを説明した上で、動画を削除してもらうよう「お願い」に向かうべきだった。

-顔や名前を出すリスクを考えた上での行動だったのか

段原監督 生徒たちの気持ちに賛同してしまい一緒に考えてしまった。

-リスクについては考えなかったのか

段原監督 考えていなかった。

-どの程度関与していたのか

段原監督 こういう風にやりたい、という申し出があった時に同じ気持ちでいたため、賛同して尊重して、そこからキャッチボールが始まった。行ったり来たりだった。

-具体的にどんな指示を?

段原監督 彼らの提案に対して、こうした方がいいんじゃないかというやりとりだったと思う。

-自分が関与したことをなぜ隠した?

段原監督 尊重したという事がすべてで、隠したわけではない。でも結果こうなった申し訳ない。

-尊重したというのは?

段原監督 同じ気持ちでした。

-どういった思いで知らなかったと言ったのか

段原監督 彼らの気持ちを尊重したいという思いでした。

-「スッキリ」に出演した後に、出た音声データは監督自身が話したこと?

段原監督 22日の早朝に話した内容。話は20分程度であり、一部切り取られたものだと考える。毎日朝から10~20分程度話をしている。その一環として、その日は今回の事案に触れる形で話したのが、あの形になった。

-あの音声データには自主性を感じないが、どのように思われているのか。

段原監督 朝の段階でのミーティングの一部。関係生徒についてはかなりのプレッシャーになったと思う。そのプレッシャーや心の働きが動画につながったとは思う。

-録音していた音声データ(の投稿)は教え子だと考えられるが、批判的なスタンスを持っている証しでは?

段原監督 おっしゃるとおり。

-その環境下で自主的に申し入れて謝罪というのは考えにくいと思うんですが。子どもたちを批判しているように聞こえるが、そのようなつもりはなかったのか

段原監督 あの録音で聞かれた方が聞こえた通り。申し訳ない。

-自主性というよりも昭和の監督の言うことはすべてといったノリが聞こえるがずっとそのような感じなのか

段原監督 いまおっしゃったようなつもりではない。脅したり脅迫したりするつもりはない。申し訳ない。

-番組で、そのあたりは隠そうというつもりはあったのか。学校関係者の方は出ることについてどのような対応だったのか

白井教頭 日曜日に校長から、もしかすると監督が大きな事件がないなら出るかもしれないときいていた。全国テレビでみんなの前で謝罪をしたいという気持ちが強い、と相談があったので、何もなければ出てもいいという話はしていたが、月曜の朝にならないと分からないという話はしていた。

-コーチの暴行行為について、学校としてどういう話をしているのか

白井教頭 生徒、職員、コーチから話を聞いているが、報道にあったまま。生徒がコーチに発言するような言葉ではない言葉で発言した、ということで起こった。感情的になってしまった。

-退職願を提出する際、どのような形だったのか、学校の処分は

渡部教頭 コーチは暴行罪で書類送検されている。刑事処分を踏まえて、学校の判断を決めたいと思っている。

-「スッキリ」に生徒たちで出ようとなったのはどういう経緯だったのか、発言と暴力に関して監督はどう思っているのか、監督と生徒の思いがひとつというのは、日常茶飯事ではないというのを伝えたいということなのか、学校は日常茶飯事だと思っているのか、校長補佐というのはどういうお仕事をされているのか

段原監督 暴力行為については、暴力は根絶されるものであると認識しているため、あってはならないと思っている。取材については、依頼が来たため、子どもたちになげかけたところ受けたい、ということだったため受け入れた。

-暴力を受けた理由について監督は関与していない? 子どもの言葉?

段原監督 何も指示していない。

-日常茶飯事については

段原監督 自分もびっくりした。子どもの僕に対する訴えは、事実でないということだった。

渡部教頭 生徒からの聞き取りを行い、日常茶飯事で暴力が行われていた、毎日行われていたということはないが、多いということには間違いない。寮内、練習中であったり、そこはさまざま。

白井教頭 校長補佐は、今年の4月から。500人を超える寮生、寮の統括、生徒指導の統括を兼務していた。教頭も校長補佐も同格の役職という認識はしている。役割分担が違うというところ。

-釈明動画があがった後に校長もよくやってくれたという話を聞いたが、どの段階で釈明動画があがることを知り、関与していたのか

白井教頭 (校長は)全く関与していない。校長は次の日に知った。とてもびっくりされ、おれは悲しいと言われた。なぜ生徒が顔を出し、名前を出しているのか。生徒自身が、暴力が日常的に行われていないという発信をするという気持ちはうれしいと話したが、この動画はだめだとはっきり言われた。その後、すぐに監督を呼び、この動画は非常にいけない。ただし生徒主導であげているため削除するように頼んでくれ、という話を監督に話した。校長が動画を見て、監督に話すまで30分かかっていない。校長に直接、前日のうちに見せておけば良かった。ここは私と渡部の失敗。

-アンケートで複数の暴力行為が出てきたが、そこは把握していたのか

段原監督 知らなかった。生徒指導事案で出てきたことは対応しているが、あのコーチのああいう行為については見たことなかった。それ以外にも見たことはない。

-これだけの行為が発覚し、どのような心境か

段原監督 再発防止に努めたい。今後そういった情報が早くはいるように協議していきたい。

-進退について

段原監督 目の前に山積していることについて、全力で取り組みたい。

-アンケートをするまで、暴力行為は把握していなかったのか

渡部教頭 報告があったものもなかったものもあった。全体の把握はできていなかった。それに対して気づけなかった、という事に対して、とても申し訳なく思っている。

-生徒間の暴力が出てきたが、サッカー部への対応については

白井教頭 サッカー協会の専務理事にもすべてお話しした。協会としても指導者への処分の検討に入っている。生徒についても、すでに処分が終わっているものもあるが、今のところ生徒に非はないと思っている。協会の方も生徒は試合に出してあげたいとおっしゃっている。

-24件の暴力行為は特定の生徒に対するものか

渡部教頭 複数の生徒であるが、個人情報があるので答えられない。

-30代のコーチについて監督はどう思うのか

段原監督 暴力行為は見たことない。長くやっているため、情熱のある人物だと認識していた。

-監督への処分はきまっているか

渡部教頭 今回の暴力行為関係および釈明動画に関して、警察署で取り調べをしており、刑事処分の結果を踏まえて決めたいと思っている。警察署の(段原)監督への取り調べは、釈明動画に関するものになる。

-首脳陣の刷新について

渡部教頭 検討している。

-ネットの反応について監督はどう思っているのか

段原監督 こういう事態になったことについて申し訳ない。

-監督が出ようという意図はなかったのか

段原監督 ならなかった。生徒が自主的に、というところに賛同した。

-再発防止は具体的にどう努めるのか

段原監督 保護者会にて、サッカー関係者じゃない人を人選しながら、保護者会のほうで研修プログラムを組んでいこうという話になっている。いままではコーチングの研修が主だったが、これからは暴力根絶や心理学的な座学も行っていこうという話をしている。

-学校はどう対策していくか

渡部教頭 今回のことは生徒は悪くない。職員の責任。それを踏まえて職員がしっかりとした研修を行い、私たち自身、また勉強していかないといけないと強く思っている。具体的には5点ある。

1、職員による生徒指導力を高める。

2、生徒の心のサポートに向け学校体制を整える。

3、啓発を行う。

4、保護者との連携を行う。

5、外部への学校情報の発信を改善する。

-釈明動画は生徒主導か、監督主導か

段原監督 これまでも今回の件も生徒主導でやってきたが、責任は私にある。これまでも生徒たちが自主運営してきたが、責任は私にある。

-一連の騒動でサッカー部を辞めたいといった生徒はいるのか

段原監督 現時点でそういったことは自分たちの耳には入っていない。保護者説明会を昨日行ったが、保護者からは1日も早くリーグ戦や、練習も、元の練習できる環境に戻してほしいというのが多かった。今のところ聞いていないが、そういう生徒が出てこないことを願う。

-SNSについて

段原監督 毎年講習は実施しているが、時期は遅かったため、前倒しして今は計画している。

渡部教頭 私たち職員のSNSの使い方の研修を先にするべきだと思っている。

-SNSのどこが怖いと思ったか

段原監督 自主運営としてあげている生徒もいるが、生徒への攻撃が今回、ものすごい。ある程度コメントを見たが、8割くらいは批判。

-最初にあげた動画はSOSともとれるのでは

段原監督 おっしゃるとおり。SOSとして捉えている。

-アンケートはどのくらいの頻度で?

渡部教頭 前回は昨年の2月に行った。昨年も調査はしたが、今回ほどの件数は上がっていなかったが、あった。サッカー部のものに関しては、詳しく答えられる資料がない。非常に申し訳ないが、把握できていない。関係のところからの報告を受けていなかった。

-日常茶飯事という言葉に対して。暴行について、学校が対処してこなかった、という意味にもとられてしまうのではないか

段原監督 毎日のように行われていた、とは思っていないが、数は多くあると思っている。

-監督の捜査について。録音内容については処分の対象に入っているのか。

白井教頭 そういったものもすべて踏まえて考えさせていただきたい。

-この音声自体を言葉の暴力としては捉えていないか

白井教頭 言われた子どもたちそれぞれによって違うと思うが、学校としては不適切だったと捉えている。

-24件の中でひどい内容とは?

渡部教頭 詳しくは言えないが、練習中に暴力があったことは事実。

-どのような場面で?

渡部教頭 ヨーヨーテストというテストで、チームを分けるが、その分け方に関してのトラブルがあり、暴力があったということは事実。

-けがについて

渡部教頭 サッカー関係で38件あったうち、けがをした生徒は8人いた。8人とも病院の受診はしていないが、打撲、青たん、口の中が切れた、鼻血などと聞いている。

-アンケート期間中に辞めた生徒は?

渡部教頭 現在の在籍の生徒ではいない。そこはきちんと報告を受けている。

-アンケートは学校全体と捉えていいのか

渡部教頭 個人情報があるので詳しくは言えないが、サッカー部以外の部活もあるし、入っていない生徒もいる。

-学校の今後の処分の方向性は、基本的には続投と考えているのか

白井教頭 現時点では自宅謹慎中ということもあり別の代理監督がついている。13人で現在運営しており、すべて踏まえて、そこは考えていく。

-20年程度監督をするなかで暴力をしたことはなかったのか

段原監督 ありません。

-生徒の自主運営などネットの運営方法についての変更はあるか

白井教頭 いま学校のホームページやサッカー部のホームページなどの誹謗(ひぼう)中傷の中身がひどく、閉鎖している。偏差値のことなど。当然ながらネットにあげる場合は、職員が最後まで確認をとってあげるという形になると思う。大人の目は確実に、最後に入るようになる。

-第三者委員会について

白井教頭 検討中。第三者委員会を立ち上げるとかえって対応が遅くなるおそれがある。

渡部教頭 最後になりましたが、生徒が安心安全で生活できますように、また笑顔で生活できる学校にするために全職員で再発防止に取り組んでいきたいと思います。今回の暴力事件に関しまして、心より、心よりおわび申し上げます。申し訳ございませんでした。