【記者の目】意思疎通欠いた乾貴士とC大阪、遅すぎた森島社長との面談…大人の対応での別れ救い

乾(左)に交代を出すC大阪小菊監督(22年4月5日撮影)

<記者の目>

セレッソ大阪は9日、4月に規律違反などを起こした元日本代表MF乾貴士(34)と同日付で双方合意の下、契約を解除したと発表した。全処分が終わった5月16日以降も全体練習に合流せず、途中退団の方向で調整していた。

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複数の関係者によると、乾の退団が事実上決まったのは、5月19日だったという。森島社長が乾と1対1の面談を実施し、全体練習合流を促したものの、物別れに終わった。本来は全処分が明けた同16日から合流するはずだった。

その後は事務的な折衝に淡々と入った。今後もC大阪に在籍するのか-。最終返答日に指定された5月末、それでも乾は、首を縦に振らなかった。6月以降は契約解除にともなう条件の交渉に時間を費やし、この日午前に両者が合意した。

暴言などの規律違反をした乾に100%、責任があるのは間違いない。4月14日に発表された最終処分は計8試合の出場停止と、5月中旬までの約40日に及ぶ全体練習参加禁止という厳罰。乾もショックは隠せなかったといい、この時点でもうC大阪に戻れないと覚悟していた、と証言する関係者は多い。

厳罰の下で生活する乾とクラブは、同時に意思疎通を欠くことになる。溝は深まり、チームとの距離は広がっていった。

だが全処分が解除された5月16日を境にクラブは、乾との話し合いに本腰を入れるようになったが、もう遅すぎた。森島社長による面談もその1つで、同社長はこの日の会見で「もう少し、早いアプローチが必要だったのかなと思う。(C大阪で)やれるという思いに、させてあげられなかった」と後悔した。この言葉は、乾への愛情を正直に示すものだ。

この日、乾はこれまでの感謝をつづった上で「C大阪の選手として全力でプレーしてきた。これからもC大阪を応援しています」とコメントを発表した。最後は泥仕合にならず、大人の対応で別れたことが救いだった。【横田和幸】