北海道サッカーリーグ初の女性主審・稲葉里美「1歩踏み出せば楽しい世界」

女性審判として道リーグで初めて主審を務めた稲葉さん(撮影・石井翔太)

<ピープル:サッカー女子1級審判員・稲葉里美さん(38)>

9月に札幌市内で行われた北海道リーグの試合で初の女性主審を務めた。21年に道内4人目の女子1級審判員の資格を取得後、女子のなでしこリーグで主審を務めるなど、活躍の場を広げてきた。今後は女子プロリーグのWEリーグで主審として笛を吹くことを目指す。女性審判員は全国的にも不足しているだけに自身の活動を普及につなげていきたい考えだ。

主審の笛を吹いたのは第12節ノルブリッツ北海道-ASC北海道。「やるからには覚悟と責任を持って精一杯やろうと思って臨んだ」。選手と密にコミュニケーションを取り、円滑に試合を進行させた。「ファウル時には両チームの選手への声掛けをしてケアすることを徹底した」と振り返った。試合は0-0で引き分け、大きなトラブルもなく無事に試合を終えた。「何事もなく終えられたのはよかった」としつつも、「両チームから軽度な不満は挙がっていたので判定の精度を高めていかなければ」とひたむきに語った。

21年1月に女子全般と男子では高校以下の試合を担当できる日本協会認定の女子1級審判員に合格。道内で女子1級を取得するのは、国際審判員の手代木直美さん(42)以来、15年ぶりだった。なでしこリーグでは同年に9試合、22年に8試合で主審を務めた。WEリーグでも副審や第4審判を務めるなど、トップリーグでの経験も積んだ。90分間走り切る体力強化も欠かさない。75メートル走と25メートルの歩行を繰り返すインターバル40本を1時間以内で行うトレーニングを週に2回以上こなす。「ピッチを往復することを想定しながらトレーニングしている」と語った。

20日に開幕するW杯カタール大会では山下良美さん(36)が史上初めて女性審判員に選出された。女性審判の普及について「興味はあっても公式戦で主審を務めることに恐怖を感じている初心者も少なくないので講習会など普及の場で、1歩踏み出せば楽しい世界だということを発信していきたい。いつか女性審判が男子の試合で主審を務めることが当たり前になれば」と願っている。【石井翔太】

◆稲葉里美(いなば・さとみ)1984年(昭59)4月20日、恵庭市生まれ。恵庭小3年時に恵庭FC(現バーモス恵庭)に入団し、サッカーを始める。恵庭中、札幌清田高時代は第一レディースでDFとしてプレー。現役引退後は19歳から審判員を務めている。会社員。157センチ。