【新潟】前節ハットトリックのMF伊藤涼太郎、フル出場も不発「負けるべくして負けた」

新潟対鹿島 後半、CKを蹴る新潟の伊藤(撮影・大島享也)

<明治安田生命J1:新潟0-2鹿島>◇第9節◇23日◇デンカS

前節ハットトリックで注目のアルビレックス新潟MF伊藤涼太郎(25)は、フル出場も不発に終わった。前半17分にCKを獲得した左足などシュート2本を放ったが、中央を固めた鹿島の守備を崩し切れず、完封負け。チームで唯一継続する開幕からの全試合先発こそ9試合に伸ばしたものの「負けるべくして負けた」と天を仰いだ。

笑顔はなかったが、今季J1で最も旬な司令塔だ。繊細なタッチ、両足から繰り出すパスで攻撃をけん引する天才肌。美技で魅了するだけでなく、結果にも直結。前節まで得点ランク1位タイの5得点と2アシスト。15日の福岡戦では、史上初の後半ロスタイム2発を含むプロ初の3発で0-2から逆転勝ちに導いた。

負けず嫌いで努力家。ウオーミングアップから勝負にこだわり、全体練習後も最後まで残ってシュートを打ち続ける。口癖は「もっと」ではなく「もっともっと」。成長欲の強い8年目は現状に満足せず、日々の練習と実戦に出てはアップデートを繰り返してきた。

苦い経験が、そう体を突き動かす。作陽高(岡山)で天才と騒がれ、現札幌のペトロビッチ監督に称賛されて16年に浦和入りも、出場機会に恵まれず水戸や大分への期限付き移籍を重ねた。目指した東京五輪も逃した。埋もれた才能が開花したのは昨季。完全移籍で新潟へ加入すると、J2全42試合に出て9得点11アシスト。「自信を失いかけた時期もあったけど、自分を信じてやってきた」。優勝とJ1復帰に導き、今季も昇格組ながら五分の星で走るチームに貢献。2・3月度の月間MVPにクラブの日本人で初めて選ばれた快挙が、天賦の才を物語る。

A代表初選出の期待も高まる。世代別は常連で「返り咲き」への意識は強い。ただ「選ばざるを得ない活躍を、もっともっと残さないと」と分かっている。この日のように、活躍の波をなくすことが不可欠。かつての不遇を糧に欠かさぬアップデートの先に、日の丸が見えてくる。【小林忠】

◆伊藤涼太郎(いとう・りょうたろう)1998年(平10)2月6日、大阪市生まれ。C大阪U-15から18に昇格できず作陽高へ。浦和5年ぶりの高卒新人として期待も、入団2年目の17年9月にJ2水戸へ育成型期限付き移籍。18年も延長して9得点。19年のJ1大分や21年の水戸への再レンタルなど移籍を繰り返したが、新潟でプロ初の全試合出場。U-15~19日本代表。「80」切りを目指すゴルフが得意。175センチ、69キロ。利き足右。血液型O。