<明治安田生命J1:神戸2-0広島>◇第13節◇13日◇ノエスタ
Jリーグ30周年記念マッチを、親子の力で勝ちきった。
首位と3位がぶつかり合った試合で、ヴィッセル神戸GK前川黛也(28)が、広島を完封。J開幕時に活躍した元日本代表GKの和也さん(55)の教えを生かしたセーブでゴールを死守した。後半2分にOGで先制した神戸は、終了間際にFW武藤嘉紀(30)が追加点。広島を突き放し、記念試合を白星で飾った。広島は3連勝を逃した。
◇ ◇ ◇
立て続けに入ってくるサイドからのクロスに耐える時間も多かったが、最後までしのいだ神戸が、上位対決を制した。2試合連続無失点勝利に貢献したのが、GK前川の積極果敢な守備だった。
広島のセットプレーやクロスを警戒して臨んだ一戦。「勇気を持って出ることで、相手の強みであるクロスが入れづらくなったと思う。相手にとっても僕の存在は嫌だったんじゃないか」。後半2分に神戸が先制したことで、前半とは打って変わって広島が前に出た。その中で何度も飛び出し、立ちはだかった。
GK転向が中学3年時と遅かった前川を育てたのが、かつて広島の守護神を務めた父・和也さんだ。今、息子は神戸の守護神へと成長した。広島皆実高時代、互いの休みが重なれば指導を受けた。「特別なメニューというより、基礎を教えてもらった」という親子特訓。それは今も自身を支える糧になっている。
「お父さんと公園で一緒にトレーニングしてきた。それが僕の財産です」
技術面だけでなく、家では続けることの大切さも教わった。「小さい頃から『継続は力なり』とずっと言われてきて、コツコツやってきた結果、こうやってフィールドに立てている」と父への感謝も口にした。
チームは最後まで走りきり、MFイニエスタを温存した中で、勝ち点3差に迫っていた相手に勝利した。
「横浜、名古屋に取りこぼしていたので、ここで勝ち点3を取れたのは自信になる。もっともっと集中してやれるきっかけになったと思う」。試合前までリーグ最少8失点同士の戦いを制した神戸が首位を堅持した。【永田淳】
◆前川黛也(まえかわ・だいや)1994年(平6)9月8日、広島市生まれ。広島Jr.ユース、広島皆実高、関西大を経て17年に神戸加入。18年11月の名古屋戦でリーグ戦デビュー。J1リーグ77試合出場。21年に日本代表選出。元日本代表GK和也さんを父に持ち、ともにGKとしての代表選出は初。身長191センチ、体重86キロ。
○…2点を生み出したのはFW武藤だった。後半2分、ゴール前に走り込んだMF山口へのパスで相手OGを誘発。同ロスタイムには、FW大迫のポストプレーから抜け出し「自分で切り返してみて、かなり景色が広がっていた」と右足を振り抜いた。90分走り続けた11番は、「最後まで頑張って走ったご褒美が来たのかな」と胸を張った。