【J30ベストアウォーズ】ヘディング「ベストゴール」GK山岸範宏「決めるつもりなかった」

日刊スポーツ東京版(2014年12月1日付)

Jリーグの開幕30周年記念イベントが15日に都内で開催され、「ベストゴール」が6つの部門に分けて発表された。

▽ヘディングシュート部門

山岸範宏

14年11月30日J1昇格プレーオフ準決勝ジュビロ磐田-モンテディオ山形

【復刻】2014年(平26)12月1日付日刊スポーツから

Jリーグ史上初のドラマチックな出来事が起きた。J1昇格をかけたJ2チームによるプレーオフ準決勝の磐田(4位)-山形(6位)戦は、1-1で後半ロスタイムに突入。決勝進出には勝利が絶対条件の山形は、右CKのチャンスにGK山岸範宏(36)がゴール前まで上がり、ヘッドで決勝点をたたき込んだ。GKの頭による得点は、Jリーグ発足22年目で初。劇的な幕切れに、スタジアムは騒然となった。

その瞬間、スタジアムの時間が止まった。DF石川の蹴ったCKが、山岸の頭に当たってゴール左のサイドネットを揺らす。一瞬の静寂のあと、歓声そして聞いたことがないような悲鳴。J史上初めて、GKがヘッドで決めた得点は、値千金の決勝ゴールでもあった。

山岸 入った瞬間はまったく見えなかった。ゴールに吸い込まれているとは思わなかった。ボールが静止しているのが見えたら、みんなにつぶされていた。

1-1の後半ロスタイム。プレーオフは上位チームにアドバンテージがあり、山形は引き分けなら敗退が決まる。土壇場で得たCKに、山岸はゴール前まで上がり、身構えていた。

山岸 ドローでは負ける。何も考えずにゴールにいった。ボールの軌道をスラして(頭でこすって流すこと)変えたら、何かが起きると思っていた。

そして、本当に奇跡が起きた。DF山田は「何が起きたのか分からなかった。まさかキシさんが取るとは…」。味方ですら、想定外だった。

山岸にとってプロ14年目の初ゴール。「走ればかっこよかったかもしれないが、慣れてないのでうつぶせになっているだけでした。もう1度やってみろと言われてもやれない」と笑わせた。石崎信弘監督(56)は「(練習で)僕はやったことはない。GKコーチは、僕が知らないところでやっていたというけど、練習でも見られない素晴らしいのが入った」とたたえた。

06年に代表も経験した山岸は、今年6月下旬にJ1浦和から期限付き移籍。J2第19節から24戦フル出場し、天皇杯も準決勝まで全5戦に出場している。チーム最年長として第24節の千葉戦からゲームキャプテンも務め、トップチームの意識をチームに注入した。石崎監督も「リーダーシップを取って選手を鼓舞している。若手のお手本。チームの柱」と認めている。

山岸も「今年浦和でチャンスがつかめなくて、拾ってもらった感じがある」と感謝。来季は完全移籍が決定的だ。11月29日には、浦和が土壇場で引き分けに持ち込まれ、首位から陥落した。自らのゴールでJ1への道を切り開いた山岸は「まだ何もつかんでいない。千葉に勝ってシーズンを終わりたい」と7日のプレーオフ決勝(味スタ)に気持ちを切り替えた。

※所属、年齢などは当時のもの

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