【高校サッカー】東京A堀越4強の先へ、久保建英ら支える中西哲生氏メソッドで攻守洗練/連載1

中西哲生氏(中央)からテニスボールを使ったメニューを伝授される堀越イレブン

第102回全国高校サッカー選手権は28日、東京・国立競技場で開幕する。日刊スポーツでは26日から注目校を3回連載。第1回は2大会ぶり5度目の出場となる堀越(東京A)を紹介する。日本代表MF久保建英(22=レアル・ソシエダード)らのパーソナルコーチを務める中西哲生氏(54)の臨時指導を、今夏と大会前の2度、受けてきた。個々の技術強化に励んで“中西メソッド”を習得。「新しい景色」となる4強以上を目指す。初戦は29日。今治東(愛媛)と東京・駒沢陸上競技場で対戦する。

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全国大会を前に、堀越イレブンは中西氏の指導に熱心に耳を傾けていた。

「ショートバウンドは足裏で止める。(久保)建英もよくやっている」「頭は上下に振らない、左右だけ」「ボールを失う瞬間を予測して動こう」

時折、同氏の口から飛び出す日本代表戦士の名。トラップ、ターン、体の使い方、守備など、練習メニューを含めて教わり、目をキラキラさせて取り組んでいた。

堀越が中西氏の指導を受けるのは今回が2度目だ。1度目は7月下旬。佐藤実監督は、堀越OBでサガン鳥栖への入団が内定している日野翔太(21=拓殖大)の名を挙げ、招聘(しょうへい)の経緯を明かした。

佐藤監督 日野のような選手をコンスタントに出したい。でも、核となる部分でマクロの世界を落とし込むには、僕では無理と限界を感じていた。そんな時、中西さんのDVDを見て考え方が斬新で分かりやすくて、お話を聞きたいなと。ライターの木崎伸也さんを経由したアプローチで、お願いしました。

実現した後は、主に技術の根幹である「キックとトラップ」「シュート」「シュートキャンセル」を学んだ。

佐藤監督は「技術の習得には3カ月はかかる。10月の選手権予選の時に、少しずつ浸透していればいいなと。中西さんが言語化して落とし込んでくれて、たった1回で子供たちを変えてしまった。僕が想像した以上に技術を落とし込んでくださった」と驚きを持って感謝する。

夏のインターハイ(全国高校総体)予選は16強で敗退した。「ボールを握って攻める」と理想を掲げたものの、体現するための技術が追いついていなかった。

しかし、中西氏の指導を受け、さらに佐藤監督が中西氏の話した内容を文字に起こして、指導の映像を部員全員に共有した。日々の「止める、蹴る」の基礎練習も、中西氏から教わったメニューを続け、全選手の技術が向上していった。

練習から1本のパス、トラップにこだわり、1年生が3年生に「(ボールがトラップで)止まっていない」と指摘する場面も。技術の浸透で理想のサッカーを表現できるようになり、冬は全国切符をつかんだ。

背番号「10」を背負う主将のMF中村健太(3年)は言う。

「今まで自分たちが適当にやってきたことが言語化されました。中西さんのメニューを4カ月続けたら、確実にトラップも止まるようになって、ビックリしています」

続けて「ヘッドダウン(頭を下げる)せずにボールを確実に止めることで、味方の動きも見えますし、次のプレーへの選択肢が広がりました。より、トラップやキックにこだわるようになっています」と効果を実感。「GKとセンターバックとボランチでボールを回せるようにもなり、攻撃の組み立て、攻撃の特長を生かせるようになった」と手応えを口にする。

2度目となる大会直前の指導では、守備面で新たな引き出しを増やしてもらった。中村主将は「守備の個々の対応も、目からうろこでした。自分たちの弱みを消すべく、教えていただいたメニューを当てはめて、負ける要因を少しでも消していかないと」と向上に余念がない。

過去最高成績は、OBの日野先輩たちが在籍していた20年度の8強だ。当時は29年ぶりの出場で初の準々決勝へ。今大会の目標は、そのベスト8を超える4強の先だ。鍵を握る“中西メソッド”。それを身につけた堀越イレブンが、新しい景色の扉を開くべく、全国へ向かう。【岩田千代巳】