J1今日開幕!史上初の首都3クラブ参戦 東京V「20番目」からの下剋上、日本サッカー起爆剤へ

東京Vのエース染野はJ1開幕戦に向けてシュート練習に励む

2024明治安田Jリーグが今日23日、開幕する。

昨季30周年を迎え、次なる1歩の今季J1はFC東京、町田、東京ヴェルディの首都3クラブが初めて相まみえる。注目は08年以来16季ぶり復帰を果たした草創期の盟主、東京V。かつて東京も指揮した名将・城福浩監督(62)の下、エースFW染野唯月(22)ら平均年齢24・1歳の若きチームが「20番目」から下克上に挑む。その染野はじめ、今夏パリ五輪も目指す町田FW藤尾、東京MF松木主将らU-23世代にも注目の1年が始まる。

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注目の東京ダービーへ、城福監督には期するものがある。「昔を掘り起こすことが、サッカー人気を高めることになる。それにふさわしい試合をしたい」。昨年7月の天皇杯で古巣の東京と対戦し、平日ナイターに2万人が集まった。昇格プレーオフ(PO)決勝で清水を下した後の会見でも同様の言葉を口にした。かつての盟主ヴェルディ復活が、日本サッカーの起爆剤となる。その思いは強い。

開幕カードは、誕生元年の93年5月15日と同じ国立での横浜戦。5万人以上の観衆が予想される中、期待よりも不安が募る。「お互いが遠慮してコミュニケーションが足りない」「昨年より練習が静か」。そんな選手の危機感も、J1通算316試合116勝(90分け110敗)の熱血指揮官は意に介さない。「去年のどの時点をもっておとなしいと言っているのか分かりませんが、昨年の終盤とはシチュエーションが違う。間違いなく練習の合間、終わった後の話し合いははるかに去年よりいい」。そして、こう続けた。

「J1のピッチに立つ選手のキャリアからしたらウチは断トツに低い。僕らには成長しかない。実績だけなら(最下位の)20位確定なので38試合を通して成長曲線を描けるかどうか」

若きチームの可能性に懸ける。期待されるのが染野だ。昇格PO決勝では土壇場で自ら得たPKを決めてチームをJ1へ導いた。今季は鹿島から完全移籍し「ゴールが自分の仕事。1試合1点は必ず取りたい」と誓う。今年の初夢は「パリオリンピックに選ばれる」だったという。「20番目」からの下克上へ、今夏の夢舞台へ、エースの活躍は不可欠となる。【佐藤隆志】

■町田「急速に成長していくタイミング」ACL出場まで視野

○…町田の黒田監督は、初J1で5位以内を現実的な目標とし、さらにはACL出場まで視野に入れている。「古くからあったクラブだし、たまたま今年(J1に)たどり着いただけ。急速に成長していくタイミングにある」と自信を見せる。そして東京、東京Vとのダービーについて「明らかに彼らを上回っていくことで存在価値が出てくる。絶対に負けたくない」と誓う。

高い強度で実践する堅守速攻スタイル。昨季優勝したJ2では42試合で最多79得点。その攻撃力は破壊力満点。エリキは長期離脱中だが、デューク、藤尾、平河、荒木、ナ・サンホらのFW陣はスピードと得点力を併せ持つ。パリ五輪出場を狙う藤尾は「2桁得点以上を狙う。抜けだし、キーパーとの1対1の駆け引きに自信がある」。DFリーダーには昌子、MFには経験ある仙頭が加わり、台風の目となりそうな気配だ。

 

■東京・松木、恩師・町田黒田監督との対戦も「何もない。1つの試合」

○…東京は、パリ五輪世代のMF松木主将、荒木、A代表も経験したDFバングーナガンデ、GK野沢ら期待の若手が中心となって初優勝を目指す。キャンプからの仕上がりは上々で、リーダーとして期待される松木は「全部勝つつもりです」と言い切る。青森山田高で指導を受けた町田の黒田監督との対戦も実現するが「何もない。1つの試合です」。東京Vに関しても「ファンの方は楽しみだと思いますが、そこに照準を合わせることはない」と上を見た。アジア杯日本代表の野沢も「大胆にいきます。勝つために軽いプレーは許さない」と意気込んでいる。

 

■「東京全体、そして日本サッカー界に活気を」連名で声明

○…在京3クラブは、多摩地域11自治体から21日に共同支援宣言を受け「3クラブが切磋琢磨してサッカーで東京を盛り上げていくこと」を確認した。J1で初めて顔をそろえる開幕を前に「トップカテゴリーにふさわしいハイレベルで熱い試合をファン・サポーターの皆さまへお届けし、その熱量をもって東京全体、そして日本サッカー界に活気をもたらすことができるようベストを尽くします」と首都から連名で声明を出し、協力して安心安全なスタジアム運営を行うことも約束した。