【町田】黒田監督「首位と言ってもたかが4節」1ミリの慢心もなし、リーグ再開へ足元見つめ直す

次節の鳥栖戦に向けて意気込みを語る町田の黒田剛監督

明治安田J1で首位に立つFC町田ゼルビア、黒田剛監督(53)には1ミリの慢心もない。

リーグ中断明けとなる第5節・サガン鳥栖戦(30日、GIONスタジアム)からの3連戦に向けて28日、町田市内の練習場でメディア対応し、初心に立ち返る強い思いを口にした。

町田は開幕戦でガンバ大阪に1-1で引き分けたが、第2節・名古屋グランパス戦(1-0)、第3節・鹿島アントラーズ戦(1-0)、第4節・北海道コンサドーレ札幌戦(2-1)と3連勝。堅守を武器に首位に立っている。代表ウイークの中断期間を経てリーグ戦が再開する前に、足元を見つめ直した。

このタイミングで思い出していたのが昨季J2での戦いだった。開幕戦でベガルタ仙台と引き分けた後、第2節から6連勝と突っ走った。今季も同様の流れにあるが、「結果がいい時は取り組みが悪くなることがある」という逆説的な言葉を口にした。

「去年1分けした後に6連勝した時に、負けたいんだという話をしたと思う。我々のやるべきことが徹底されていない、アバウトになってくる姿が見えながら勝っている時は、実はチームを修正するのがすごく難しくなる。勝っている時はなかなか言葉が(選手たちの)耳に入らない。負けることでもう1回見直す方が響きやすい。負けたくはないんだけど」

実際、自分たちのやるべきことがアバウトになっていても勝つことがあるという。それが気になり出した昨年のJ2第8節・ブラウブリッツ秋田戦では、マークがおざなりになったところを突かれて失点した。0-1と初黒星を喫し、連勝が6でストップした。だが「ちょっとほっとした」と言う。

「(今季は)まだそういう状況にはないけど、去年の教訓からこの5節目、6節目というのは、起こり得る可能性がある。もう1回初心に戻って、もう1回引き締め直して、町田がやるべきサッカーというものに言及して。重要なタイミングかなと思います」

雪国というハンディをものともせず、青森山田高を最強軍団へと作り上げた。その妥協のない手腕は今更説明するまでもない。

「高校を指導している時もそうだった。やっているようでやれていない、チームが気づかない。気づいたら大きくそれていく。そうなると軌道修正が難しくなる。悪い習慣はあっという間につく」

もちろん、負けていいとは言わない。ただ、負けた時に「だからこう言ったよね、やらないとこうだよね」とチームを引き締めるためには“いい負け”もあるのだと説く。

現実主義者。今、一番勢いのあるクラブと誰もが見ているが、「これが続くと思っていないので我々も進化していかなければいけない」とスキがない。その上でこう続けた。

「ゼルビアと対戦したチームがあまりJ1の中になかったので、真新しいものに直面して出足くじかれたけど、必ず彼らは攻略してくるので、我々もプラスアルファをもうちょっと加えていかないと。このままの序列でずっといくとは思っていない。首位と言ってもたかが4節だし、上位は団子状態。1試合、2試合でひっくり返る。そこ(首位)にこだわらず、我々のサッカーを毎試合毎試合、貫き通すということだけ」

他のJ1上位クラブと比較し、選手層はまだまだ薄いと言い切る。だからこそ、チームがやるべきことへの目線を合わせ、一丸となって戦っている。無失点にこだわる堅守速攻スタイル。1-0、2-1を目指す勝ち方だと口にする。

「J1になれば研究してくるし、クオリティーもあるので、慢心があるとすぐにやられる。この3連勝を4、5とつなげていくには目先のところで、もう1回やってきたことを再復習して、学び直して、町田本来の戦い方に言及していく。それがすごく重要」。

8日間で3試合。慢心を排除し、挑む戦いの先に待っているのは連勝街道か、それとも壁か。今やどこからもマークされる存在となりつつある。【佐藤隆志】