アビスパ福岡は26日、パリ五輪男子100メートル準決勝で自己ベスト9秒96を記録したサニブラウン・ハキーム(25=東レ)の弟で、ユース所属のサニブラウン・ハナン(18)が来季、トップチームに昇格することを発表した。
兄譲りの快足を武器にする大型FWで、28年ロサンゼルス五輪を目標に掲げる。ゴールを量産すれば、4年後に陸上とサッカーで「サニブラウン兄弟」が活躍することも可能になる。
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日本をひっぱる韋駄天(いだてん)FWになってロスで輝く。初々しい半袖学生服で会見に臨んだサッカーの“サニブラウン”。昇格が決まって、7歳上の兄ハキームから「頑張れ」とエールを送られたという。
ハナン 自覚をもってやれよ、ということだと思う。トップチームでまず試合に出て、そこから海外に行って、ワールドカップで得点を取ったりできる選手になりたい。
世界記録9秒58の更新を究極の目標に掲げる兄と同じように夢はでっかい。パリ五輪男子サッカーに刺激を受けて「(トップ昇格で)目指すところが、ちょっと近くなったと思う」と28年ロス五輪に照準。それは、陸上界を引っ張る兄との同時出場につながる道だ。
184センチ、80キロの恵まれた体格。ガーナ人の父と短距離選手だった母をもち、兄と同様に快足が武器。100メートルは計測した経験はないが「50メートルは6秒0台」という。高校に入って筋力強化に取り組んだことで、ジャンプ力とぶつかり合いの力は兄よりも上と自負する。「ストロングポイントはジャンプ力やフィジカルを生かした競り合いとスピードです」と力強く言った。
理想の選手は、同じ福岡FWウェリントン。186センチ、89キロのブラジル人FWでJ1、J2合計79得点の点取り屋だ。「チームのために体を張って犠牲になる。チームのためにつぶれる選手になりたい」とした。 東京生まれで中学までは関東のサッカークラブに所属。高1から福岡に来た。「環境が変わることは怖かったが、心の中で楽しみでした」。福岡のアカデミーは、最高傑作・日本代表DF冨安健洋を誇り、育成に定評がある。ハナンの主力定着は高3からだが、福岡ユースが所属するプリンスリーグ九州や、日本クラブユース選手権3位に貢献する活躍が評価された。冨安に続く可能性を秘める大型FWが、兄に近づく活躍を目指す。【菊川光一】
サニブラウン・ハナン
◆生まれ 2006年(平18)7月3日、東京都生まれ。ガーナ人の父と日本人の母をもつ。
◆サイズ 184センチ、80キロ。
◆競技歴 小学校時代は江東FRIENDLY FC、中学校時代はソルティーロ千葉でプレー。高1の22年から福岡ユース。
◆ポジション FW。
◆得意なプレー 長身とジャンプ力を生かしたヘディング。
◆福岡でのレギュラー定着 高3の4月からAチームの2トップとして先発フル出場。FWながらアシストを量産する。高1、2年時は控え中心のBチーム。
◆今季の得点 プリンスリーグ九州で3得点をマーク。
◆学校 男女共学私立の博多高校3年。
◆目標とする選手 福岡FWウェリントン。
○…兄ハキームも、幼少期にサッカーをしていた。ポジションはFWだったが、小3の時に母から「団体競技に向いていない」と言われて、陸上を勧められたという。ハキームも「人に合わせるのは得意じゃないです」として陸上にシフト。自己ベストを追求する個人競技にはまって、世界と戦うスプリンターになった。
◆陸上とサッカー 男子400メートルリレー代表の桐生祥秀は小学生時代にGKだった。ルーズボールへの飛び出しが抜群で、滋賀・彦根市選抜チームに入った経験がある。元日本代表FW原口元気や日本代表MF三笘薫は陸上の走り方を学んで、プレーに取り入れている。2人は00年シドニー五輪、04年アテネ五輪に出場した110メートル障害元日本記録保持者で筑波大准教授の谷川聡氏から指導を受けた。走る場面が多いサッカーと陸上の親和性は高い。
○…プリンスリーグ九州で得点王のFW前田一翔(いちか、18)もトップ昇格を決めた。長所の「スピードとフィジカルの強さ」を生かして「得点にこだわって行きたい」。昨季は九産大九州高2年ながら、すでにルヴァン杯1次リーグ2試合に先発した。その経験を生かしトップで活躍する。