【天皇杯】ミスで敗退の東洋大GK磐井稜真を神戸GK新井章太が激励「ここで終わりじゃないから」

<天皇杯:神戸2-1東洋大>◇6日◇4回戦◇ノエスタ

ヴィッセル神戸が延長戦の末に東洋大を下し、4大会連続8強入りした。

1-1で突入した延長で、東洋大は前回王者でJ1連覇中の神戸の猛攻をしのぎ続けていた。

そんな中で、試合は意外な形で決着を迎えた。

延長後半アディショナルタイム、神戸DF広瀬陸斗(29)が右からクロスを入れると、東洋大GK磐井稜真(2年=東京ヴェルディユース)が反応してジャンプ。しかし空中でキャッチしたかと思われたボールは磐井の手からこぼれ落ち、それを見逃さなかった神戸FW宮代大聖(25)に頭で押し込まれた。

それからまもなくして、1-2のままタイムアップ。磐井はピッチに倒れ込み、涙した。

「チームとしても自分としても、今日は120分いいゲームをしていたからこそ、自分の1つのミスでゲームを終わらせてしまったのが、チームのみんなだけじゃなく、応援してくれた人たちにも本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」。

涙をこらえながら、言葉を絞り出した。

痛恨のミスで試合直後には号泣した磐井だったが、先輩GKからの声かけで、すぐに前に踏み出す強さを取り戻した。

涙が止まらない磐井に声をかけたのは、一番遠くでプレーしていた神戸GK新井章太(36)だった。

「本当に痛いほど気持ちはわかるし、素直に喜べないっていうのが、同じGKとしてある」とした上で、磐井に「お前じゃなかったらこの延長まで来てないから、自信持ってやれよ、ここで終わりじゃないから」と言葉をかけたことを明かした。

それはGK同士だからわかる難しさがあるから。

「いくら抑えていても、最後の1つのミスでやられてしまうのがGKの難しいところ。だから彼も、そういう経験をして次のステップに進めるように意識して欲しいなと思います」。

さまざまな経験を重ねてきたからこそかけられる思いを、磐井に伝えた新井は「自分も大学4年まで全然出られてなかったし、そういうやつがこうやって15年プロやれているんだよっていうのも、記事を通して伝えておいてください」と続け、J1王者を苦しめた大学生の将来を期待した。

声をかけられた磐井にとって新井は、特別に意識する相手だった。

19年8月には、岡山で行われた天皇杯3回戦の川崎フロンターレ-ファジアーノ岡山を現地観戦したといい、その時に川崎Fのゴールを守って勝利に貢献したのが新井だった。

「岡山の天皇杯を見に行って、6年後にこうやって自分が天皇杯に出て、見ていた新井選手が対戦相手として一緒にできたというのは、すごく気持ちが高ぶっていた。だからこそ勝ちたかったっていう思いが強いです」。願い通り勝つことはできなかった。

それでもこの一戦は忘れられないものになった。

「小さい頃からずっと見てきた選手だったので、試合をできたこともそうですけど、ああいう励ましの声をかけてもらえたのは、自分の気持ちの切り替えにもつながるのかなと思っています」。

大先輩GKから受けた言葉を胸に、磐井は再び同じピッチで戦うことを目指す。【永田淳】