スポーツイラストレーターとして活躍するアーティストの田村大さん(42)が、J1横浜F・マリノスの公式キャラクター「マリノス君」を勇者風に描き、チームの士気を高めている。
横浜は10月18日にホームの日産スタジアムに浦和レッズを迎える。相手はJリーグ屈指の熱きゴール裏サポーターを抱える。そこでレッズにのみ込まれないよう「RAISE THE TRICOLOREFLAG(トリコロールの旗を揚げよ)」をテーマにマリノスの象徴、トリコロールフラッグの全席配布を企画した。その施策の“旗振り役”として、白羽の矢を立てられたのが田村さんだった。
2016年に似顔絵の世界大会で優勝し、今や日本を代表するイラストアーティストだ。最近ではMLBドジャース山本由伸投手の似顔絵を描き、誕生日に合わせて8月16日(日本時間17日)にロサンゼルスまで出向いて手渡しした。
その田村さんが今回描いたもののは、マリノス君が先導役となってゴール裏に多くの旗がなびくという力強いもの。横浜の公式SNSを通じ、そのキービジュアル(イメージ画)がこのたび公開された。10月18日の浦和戦まで1カ月間、マリノスファミリーの勝負機運を高めていく狙いだ。
田村さんは作品について「選手だけでなくてマリノスに関わるスタッフの方々のいろんな熱量を感じて、絵で少しでも役に立ちたいと思いました」と話す。
スポーツへの関心が強く、これまでもさまざまな競技やチーム、選手を題材として描いてきた。過去に横浜の選手たちの円陣を組む様子を描いたこともあり、7月に来日したリバプールとの一戦も観ている。
「何をイラストで表現するのが一番いいのか(横浜側とも)かなり詰めました。写真の良さとイラストの良さは違うと思っていて、なるべく情報をそのまま伝えるのが写真だとしたら、見せたいものにフォーカスするのがイラストだと思っていて、躍動感をテーマに、それをどうやったら伝えられるか模索して描きました」
そこで出てきたイメージは、ゴール裏になびく多くの旗。それを力強く先導する勇者、マリノス君の姿だった。
「そこはリアルになりすぎず。でも自分の持ち味が出ないと僕が書く意味がない。普段は人を描くことが多いので、ちょうどいい落としどころというのが難しかったです。かわいいマスコットだけどカッコよくもあるので、カッコいい部分を引き出せるように頑張りました。躍動感をテーマに書いているので、マリノス君のポーズに対して、こう旗がなびいているという。1枚の絵を見て、その動きを感じてくれたらいいなと思います」
都内の仕事場でカラーペンを手に取り、実際に描く作業も披露してくれた。
「迫力とかを出すために、色の陰影を付けたり、あとは表情も鋭いまなざしだったりとか、戦っている姿勢を表現しました。“戦うぞ”という闘志を感じていただけたら」
今季の横浜はJ1で下位に苦しんでおり、J1残留に向けて緊張感あふれる厳しい戦いを強いられている。そんな状況も踏まえて、不屈の思いも絵に魂を込めている。
「絵で何か焚(た)きつけたい。選手だけでなく、ファンのみなさんも応援していらっしゃる。そこにイラストのエネルギーを注入できたらいいなと思います」
田村さんの描いたマリノス君のもと「10・18」マリノスファミリーが一体となる。【佐藤隆志】